銭湯の富士山描き50年-銀座・芹川画廊で「銭湯背景画絵師」作品展

「銭湯ファン」も多く訪れる同展。番台もある銭湯さながらのギャラリーでつかの間の「癒し」を感じてみては?

「銭湯ファン」も多く訪れる同展。番台もある銭湯さながらのギャラリーでつかの間の「癒し」を感じてみては?

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 全国に2人しかいないといわれる銭湯の背景を描く「銭湯背景画絵師」丸山清人さんの作品展「Last Sento Painter」が現在、レトロな戦前建築として知られる奥野ビル(旧銀座アパートメント)地下1階のギャラリー「芹川画廊」(中央区銀座1、TEL 03-3535-2007)で開催されている。

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 1935(昭和10)年、高円寺生まれの丸山清人さんは現在74歳。小学校1年生の時、一家で山梨へ疎開、高校まで同地で過ごした。父親は戦前から叔父の経営する背景広告社にセールスとして勤めていたため、18歳で上京し同社へ入社した。叔父の手ほどきを受け銭湯の背景に描かれる富士山絵を習得。24歳で独り立ちし、都内の銭湯の背景画を手がけるようになった。45歳で丸山工芸社を設立、銭湯、老人ホーム、健康センター、介護センターなど風呂場の背景画を描いてきた。銭湯背景画絵師は現在では、兄弟弟子の中島盛夫さんと丸山さんの2人だけになってしまったという。

 同画廊は昨年3月、音楽の産代教諭だった芹川より子さんが小野画廊より引き継いだ。銀座アパートメント時代には風呂場だった同画廊。何もなかった画廊内の隅っこに壁で囲った小さい事務所を作ったところ、それを見たカナダ人が「番台みたいだね」と言ったという。「番台もできたし(笑)、どうしても風呂に関する展示がやりたかった」(芹川さん)と思っていたころ、丸山さんを紹介してくれるという朗報が舞い込んだ。そこからはトントン拍子で話が進み、作品展開催が実現した。

 会場内には富士山が描かれた「忍野八海」「赤富士」「西伊豆」「瀬戸内海」や、「北海道」の風景画をペンキで描いた11作品(2万8,500円~4万2,000円)のほか、今月5日にライブペインティングで描いたという富士山が大きく描かれた背景画を展示販売。当日、仮面ライダーのTシャツを着用して登場したという丸山さん。芹川さんは「ブルーの下地の上に、ほんの少し下描きをしただけで絵付けが始まり2時間で描いた。腕はさすが。圧巻でした」と振り返る。通常の銭湯では男湯、女湯合わせて6~7時間で描くが、「作品は手元に残っていないので、今回の作品はかなり貴重」(芹川さん)とも。

 開催は当初9月12日までを予定していたが、「あまりにも反響が大きいので2週間延長することにした」という。「作品を見て失われつつある銭湯文化を子どもたちへ残したいという方も多くいらっしゃる。シルバーウィーク中にご家族でご来廊いただければ」(芹川さん)。

 開廊時間は12時~18時(土曜は17時まで)。9月26日まで。

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