JTB首都圏(東京都千代田区)は10月より、次世代型の交通手段として期待される貸し自転車システム「コミュニティーサイクル」の社会実験を丸の内仲通りを中心とする有楽町、丸の内、大手町、東京エリアで実施している。
パリ市内ではドラノエ市長が力を入れるエコロジー政策の一環として2007年より貸しコミュニティーサイクルシステム「ベリブ」を開始するなど既にヨーロッパ主要都市では公共交通を補完するとともに低価格で利用できる交通手段として広がりをみせている。環境省からの委託を受けた同社では放置自転車問題、自転車が安全に走行できる道路環境整備など日本特有の課題への対応を視野に入れつつ、「環境にやさしく、健康に良い」日本型コミュニティーサイクル構築への第一歩として実験を開始した。
同エリア内5カ所には貸し出し拠点「エコポート」85台、貸し自転車50台を設置。JTB首都圏丸の内支店(大手町1)とトラベルゲート有楽町支店(有楽町2)で事前登録を行うと利用が可能となる。利用料金は初回登録料1,000円で、最初の30分は無料、30分以降10分ごとに100円。3時間以降は5分ごとに100円となる。貸し出し時間は24時間を上限とし24時間経過後は自転車代金相当額が請求される。クレジットカード決済を導入し、エコポートでの金銭収受をなくすとともに自転車の盗難を防止。情報通信システムにより台数管理、再配置を実施している。
コミュニティーの登録者数は11月16日現在、個人680人、法人13社(88人)。有楽町・丸の内周辺の会社員などの日中業務での利用が多くを占め、利用時間は9割が30分以内、利用頻度は自転車1台につき1日平均1.6~2.6回。同社広報担当の永瀬さんは「既に自治体や企業からの問い合わせは受けている。今回の実験をもとにしたビジネスモデルの確立により全国への広がりに期待している」と話す。
実験は11月30日まで。