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銀座「木挽町 よしや」の名物どら焼き、イベント中止などで千個キャンセル

店内の壁には、芸能人から大企業までの「ビッグネーム」の焼き印が並ぶ

店内の壁には、芸能人から大企業までの「ビッグネーム」の焼き印が並ぶ

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 入学式・入社式などの贈答品として人気を集める銀座の和菓子店「木挽町(こびきちょう)よしや」(中央区銀座3、TEL 03-3541-9405)では、震災の影響を受けたキャンセルが約1,000個に上ったことが分かった。

リズムよく焼き印を押していく中村良章さん

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 注文主の名前やロゴなどをどら焼きに焼き印するサービスで人気を集める同店。客から「預かる」焼き印は約2,000本で、国内外のアパレルメーカー、出版社、電話会社、自動車会社などの大手企業から、俳優、歌手、タレントなどの芸能関係者まで、幅広い社名・人名が刻印された焼き印が壁一面に並ぶ。

 店主は、先代が90年ほど前から構えていたという和菓子工房から数えて2代目となる中村良章さん(61)。大学では機械科だったという中村さんは、40年ほど前から家業を手伝って菓子作りに取り組み始めた。バブル期を経て「商売が先細り」する中、時にはタウン誌の編集や別の菓子店の営業なども兼業しながら和菓子の腕を磨いてきた。

 先代が亡くなったのを期に、「このままではもったいない」との思いで工房に販売スペースを併設し、2000年ごろから2代目に。数ある和菓子商品の一つだったどら焼きの焼き印サービスをスタートしたのもそのころ。「どら焼きには、それまでも店名や松竹梅などのマークを焼印していた。それを見て『オリジナルで作れないか』という話を受け、できなくもないな、と始めた」(中村さん)。当初は身近な人向けに「何となく」行ってきたが、そのどら焼きを受け取った人が「私も」と注文してきたり、テレビや雑誌で取り上げられたりして一挙に注文が増えていった。

 現在は「ほかに手が回らなくなった」ため、どら焼きのみを販売。注文は「イベント」「入学式・入社式のお祝い」「オープン祝い」などで配る贈答品としての需要が高く、店頭販売分も含めて一日に1,000個以上のどら焼きを作ることもあるという。価格は1個110円。

 東日本大震災当日は、壁に並ぶ焼き印「一つ」が床に落ちた程度の被害だったが、その後入園式などに向けた受注がいくつかキャンセルになった。配送分では流通ルートが混乱したため、「やむなく断った」案件も。3月末までにキャンセルになった注文は、どら焼き約1,000個分。4月に入ると新規注文の連絡も徐々に入るようになり、「落ち着いてきた」という。

 今後について、中村さんは「手がすっかり、どら焼きを焼く分厚い手になってしまった。どら焼きが売れなくなったら、また創作和菓子などもやりたい」とほほ笑む。

 営業時間は9時~19時。土曜・日曜・祝日定休。

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