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戦後モダンデザインの名作バー「樽」が閉店へ-銀座6丁目再開発で

8メートルの一枚板カウンターが目を引く店内

8メートルの一枚板カウンターが目を引く店内

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 松坂屋銀座店の裏手で60年間営業を続けてきた老舗バー「BAR 樽(たる)」(中央区銀座6、TEL 03-3573-1890)が3月31日、同地区再開発の影響を受けて営業を終了する。

戦後モダンデザインの名作とされる店舗内観

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 同バーが営業するのは、1932(昭和7)年に完成したといわれ、奥野ビルと並ぶ戦前建築として知られる「銀緑ビル」地下1階。バーは1953(昭和28)年に開業。8メートルの一枚板のカウンター、麻綿で編み込んだ革製の立て板の装飾、フロア中央に置かれた大テーブルなど独特の内装が特徴で、渡辺力さんによる照明や、剣持勇さんによるチェアーなど戦後モダンデザインの「名作」として現在も建築家やデザイナーなどが訪れる。

 「サラリーマンのポケットマネーで飲めるようなパブリックバー」としてスタートし、落ち着いた雰囲気で安く洋酒が飲める店として、現在でも会社員を中心にファンは多い。

マスターが、松坂屋銀座店を含めた銀座6丁目10番11番の再開発の話を聞いたのは「2003年ごろ」。合わせて閉店の打診があったといい、現在の3代目マスターは2代目だった父親から閉店の話を聞き、「せっかくなら関わりたい」との思いで2009年ごろから同店で働くようになった。

 閉店について「物事には何事も終わりがあると感じた」という2代目。これまでの営業については「ファンの方々に支えられて何とかやって来られた」と振り返る。

 昨年12月でランチの営業は終了。現在は夜間のみ営業を続けながら再開発の着工まで営業延期を交渉中で、閉店後も移転し営業を続ける計画。「この場所での営業は終わってしまうが、それまでに一人でも大勢の人に知ってもらって、足を運んでもらえれば」(3代目マスター)。

 営業時間は18時~24時30分。日曜・祝日は不定休。閉店は3月31日を予定している。

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