松竹大谷図書館がクラウドファンディング活用-250万円目標に運営費など募る

5,000円以上の支援への「リターン」として受け取れるオリジナル文庫カバー

5,000円以上の支援への「リターン」として受け取れるオリジナル文庫カバー

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 演劇と映画の専門図書館、公益財団法人松竹大谷図書館(中央区築地1、TEL 03-5550-1694)がクラウドファンディングサービスを使って支援を募っている。同館がクラウドファンディングを活用するのは昨年に続き 2回目。サービスプラットフォームは昨年と同じく、オーマ(文京区)が運営する「READYFOR?」を使う。

今回、デジタル化を目指す「蒲田週報」のオリジナル。二つ折り 4ページのリーフレット

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 同図書館は1956(昭和 31)年設立。歌舞伎をはじめとする演劇、映画、日本舞踊、テレビなどに関する台本・文献・雑誌・写真・プログラム・ポスターなどの資料を収蔵している。約300年前の浄瑠璃正本や、阿国歌舞伎の様子を伝える「かふきのさうし」(非公開)をはじめ、市販されていない演劇台本・映画シナリオなども多く所蔵しており、所蔵資料数は43万余点に及ぶ。

 昨年は「やむにやまれず、恐る恐る」クラウドファンディングを利用したという同館だが、357万9,000円を集め、資金調達に成功した。今回は「歌舞伎や映画、大切な日本の文化を次世代に残す」というタイトルで、同館の運営費200万円と大正~昭和初期に蒲田撮影所で毎週発行されていた機関誌「蒲田週報」のデジタル化費用50万円の合計250万円を目標に、9月18日から資金を募集している。

 募集締め切りは11月6日。10月15日、16時30分現在で110人から140万9,000円の支援申し込みがされているが、目標金額にはまだ100万円以上が不足している。

 支援者は、「1個あたり」3,000円~5万円の支援金額に応じて、「サンクスメール」、今年4月の歌舞伎座新開場柿葺落(こけらおとし)公演で上演した「弁天娘女男白浪」の歌舞伎台本および「男はつらいよ」シリーズ第1作の完成台本の表紙デザインを使用した同図書館オリジナルの文庫本カバーセット、歌舞伎や映画の台本を保護するための手作り台本カバーへ名前を記載する権利、歌舞伎座ギャラリーペア招待券などがもらえる引換券を受け取ることができる。

 同館事務局の須貝弥生さんは、「昨年の資金募集では思った以上に多くの方からの支援を頂くとともに『こんな図書館があるなんて知らなかった』『日本の文化を守ってください』など、たくさんの応援のコメントを頂いた。インターネットを通じて当館の存在を知ってもらえたのは、運営資金を確保できたこと以上に重要なことだったと思う。相変わらず運営資金が不足している中、どなたでも利用できる公共性の高い専門図書館を少額ずつ多くの方に支え続けていただくことに意義があると考えている」と話す。

 「現在の図書館事業の規模を縮小することなく、利用者へのサービスを行えるよう、運営資金を募っている。今まで資金不足のため手付かずだった資料のデジタル化についても、80年前の貴重な映画資料『蒲田週報』のデジタル化を行うことで資料を未来につなげるための第一歩を踏み出したいと思っている。皆さまのご支援をお願いします」と須貝さん。

 開館時間は10時~17時。土曜・日曜・祝日・毎月最終木曜休館。

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