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銀座で木村伊兵衛賞作家・今道子さんと飯沢耕太郎さんの「キノコ」展

飯沢耕太郎さん(左)と今道子さん(右)

飯沢耕太郎さん(左)と今道子さん(右)

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 写真評論家でキノコ愛好家の飯沢耕太郎さんと、魚など「ナマモノ」を被写体にした木村伊兵衛写真賞受賞作家・今道子さんが「キノコ」をテーマに展開する二人展が現在、ギャラリー「巷房(こうぼう)」(中央区銀座1、TEL 03-3567-8727)で開催されている。

今道子さんの「キノコの王子さま」「キノコの王女さま」

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 今さんは1955(昭和30)年、神奈川県生まれ。1985(昭和60)年より本格的に作家活動をスタートさせ、1991年に木村伊兵衛写真賞を受賞。「イカの内臓と眼球と生イクラ」「こはだのブラジャー」など、「なまもの」と人工物を組み合わせた特異なオブジェを制作し、撮影する独自の世界観で知られる。

 10年近く活動を休止してきた今さんは、近年徐々に作品制作を再開。同展は、もともと2人と縁のあった同ギャラリーが、今さんの「復活展」として3年ほど前から計画してきた。実際には今年1月に今さんの個展が実現し、今回の展示は「復活第2弾」に。日本を代表する写真評論家の飯沢さんは、近年キノコにまつわる文学、絵本、映画、グッズの収集・研究に打ち込む。同展では「最近何かというとキノコ」という飯沢さんの提案で共通テーマを「キノコ」に据え、飯沢さんの絵画作品、今さんの写真作品を並べて紹介する。

 飯沢さんのキノコ絵は、東日本大震災直後の10日間程度で「集中して描き上げた」6点。当時は「僕の実家は仙台。地元が被災したが帰れず、気持ちが落ち込んでいた」と飯沢さん。「原発への怒り」なども組み合わさり、「紙に情念をぶつけた」ような「怖い」作品に仕上がった。描き上げることで「気持ちは随分落ち着いた」といい、描いた順に「穏やかさ」を取り戻していく作風も見どころ。

 今さんは「子どものころ、図鑑で見た毒キノコが忘れられない」という。「食べられるキノコもあるのに、毒キノコの方が、魅力がある点に引きつけられた」(今さん)。キノコを全面的に素材に取り入れ、魚の頭部や野菜などと組み合わせたオブジェ写真は、頭部や手足からキノコが生えてきたような「キノコの王女さま」「キノコの王子さま」を中心に9点が並ぶ。作品は奥野ビル3階「巷房・1」(奥野ビル3階)に展示。併せて同ビル地下の「巷房・2」「巷房・階段下」ではそれぞれ、今さんと飯沢さんの新作を紹介している。

 飯沢さんは「キノコは放射能が蓄積しやすく、原発事故では最大の犠牲者。彼らに代わって伝えたい思いを感じてもらえれば」としながら「描くことで楽しんだ部分、救われた部分もある」とも。「今さんと僕の取り合わせの面白さも見てほしい」。

 開催時間は12時~19時(最終日は17時まで)。日曜休業。入場無料。12月28日まで。

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