松屋銀座(中央区銀座3、TEL 03-3567-1211)7階「デザインギャラリー1953」で7月18日、原研哉さんや小泉誠さんなど日本を代表するクリエーターが心に残る1冊を紹介する「私にとっての heart & art の“'絵本”」展が始まる。
2010年「私が出会った art & design “本”」開催時の会場の様子
主催は日本デザインコミッティー(銀座3)で、空間デザイナーの田中俊行さんが企画。2010年に開催した「私が出会った art & design “本”」が好評だったことを受けて開く。今回は「絵本」にフォーカスし、同コミッティーに所属するクリエーター18人が心に残る1冊を紹介する。
グラフィックデザイナーの原さんは、字のない絵本「あかいふうせん」を紹介。膨らんだ風船がリンゴやチョウなどへと変化していく同作について、「細部を丁寧に描き込む線画の造形の始末、赤いインクの象徴的な用い方」が「感覚の琴線を強烈に揺さぶった」と原さん。大学時代に授業で知ったといい、同作を通して「グラフィックデザインというものにはっきりと目覚めた」とコメントを寄せる。
空間デザイナーの小泉誠さんは、安野光雅さんによる「あいうえおの本」を選んだ。50音を1ページずつ掲載する絵本で、「あ」のページには「あまい、あんぱん、アリ」の挿絵をレイアウト。挿絵の周りには「アケビ」が描かれ、ツルの間には「アリクイ」「アザラシ」「アユ」の図柄が潜む。「仕掛けのフレームが幾層にも重なり『気付き』の気持ちをくすぐられる」と小泉さん。「最近気が付いた」という細かい仕掛けもあるといい、「何度も読んだ本なのに『やられたー』という思いがまた訪れ、すっかり安野絵本に魅了されている」(小泉さん)
会場では、クリエーター18人が選んだ絵本22冊をガラスケースに入れて展示。それぞれの思いや紹介した理由なども伝える。併せて、各人が推薦する「新進作家の絵本」も紹介。「醜い花」(文=原田宗典さん、絵=奥山と民枝さん)、「はまべには いしが いっぱい」(作・絵=レオ・レオニ、訳=谷川俊太郎さん)、「素材の実験」(作=隈研吾さん)など12冊を、実際に手にとって閲覧することもできる。
日本デザインコミッティー事務局長の土田真理子さんは「どの絵本も第一線で活躍するクリエーターが選んだもので、その人となりを反映したものと言える。彼らのクリエーションにも大きく関係しているかも知れず、その辺りの秘密のようなものを嗅ぎ取ってもらえれば」と話す。
開催時間は10時~20時(最終日は17時まで)。入場無料。8月6日まで。