波除稲荷(なみよけいなり)神社(中央区築地6)で6月10日~14日、江戸時代から続く夏越し大祭「つきじ獅子祭」が行われる。
同祭の起源は一面海だった築地が埋め立てられた今から350年前の1659年にさかのぼり、雲を従える「龍」、風を従える「虎」と共に万物を一声で威服させるといわれる「獅子」の巨大な頭、数体が奉納され、これを担いで回ったのが始まりとされる。
大正時代には約30対の夫婦の獅子頭が存在して町内を練り歩いていたが、1923(大正12)年に起きた関東大震災で現存する金獅子以外は全焼。それ以降は、みこしだけの巡行が続いた。
「つきじ獅子祭」には3年ごとに開催される本祭(ほんまつり)と、その間の年に行われる陰祭(かげまつり)があるが、今年は本祭の年に当たる。
メーンとなるのは13日の渡御(とぎょ)祭で、今回は同神社の「千貫宮神輿(みこし)」「弁財天お歯黒獅子」に加えて築地市場内「水神社(すいじんじゃ)」の「水神社大神輿」も、築地各町内を約8時間かけて巡行。
翌14日は「町内神輿連合社参」で、築地の5町会から大人みこし・子どもみこし・山車合わせて13~14基が同神社に集合し、おはらいを受けた後に各町内に戻り巡行する。
同神社禰宜(ねぎ)の鈴木淑人さんは「今回の渡御祭では場内市場移転の記念として、『水神社大神輿』も一緒に巡行する。違う神社のみこしが一緒に巡行することはめったになく、『水神社大神輿』が当神社のみこしと一緒に巡行するのは最初で最後の機会。さらにその機会に対して『築地の心意気を見せよう』という思いから、『江戸消防記念会』の『す組』が、14時30分から約20分間の神社を出発する区間、『木やり』を歌いながら、共に巡行する予定」と話す。
「当日は祭の来場者と築地の観光客で混み合い、祭の関係で通行止めになる道もあるので、電車やバスなど公共の交通手段でいらっしゃることをお勧めする」とも。
雨天決行。