銀座6丁目の「REIJINSHA GALLERY(レイジンシャギャラリー)」(中央区銀座6、TEL 03-6215-6022)で3月18日、冨岡奈津江さんと植野のぞみさんの2人展「野生の夜に」が始まった。
冨岡さんと植野さんは共に、動物をモチーフとする作品を制作する立体造形アーティスト。同展ではさまざまな動物をかたどった51点の作品が、照明によって「昼」と「夜」に分けられたギャラリーの中に展示され、動物園さながらの光景を見せている。
女子美術大学を経て、2010年に多摩美術大学大学院美術研究科陶専攻領域を修了した冨岡さんは、「フクロモモンガ」「ミツユビナマケモノ」「キンシコウ」「クマゲラ」「白馬」など、新作12点を含む陶器作品28点を出展。
作品制作に当たっては動物の生態を調べることから始め、粘土の「ひも」を積み上げて作品を形作るという富岡さん。「生きるために生きている、ひたむきなまでの野生の本能、生きざま、生命力に強く引かれる。彼らの領域に少しでも近づくために粘土という材料を選んだ」と話す。「人の手が及ばない火の力に作品を託す間も大事な時間。窯から出す時は、生き物が生まれてくるような感覚」とも。
植野さんは2006年、多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業。「マルマンズ マヌルネコ」「転石」のほか、アパートの窓でたばこを吸うオオアリクイ、外に向かって輪ゴムを飛ばす2匹の子豚など、新作16点を含む23点を出展する。
「見ているはずなのに目に留まらないほどのささやかな出来事で構成されている日常を、擬人化した動物の姿を通して表現した。見る人が自由に、記憶や思いと結び付けて楽しんでもらえれば」と植野さん。作品制作に使う、桐(きり)の粉末にのりを合わせた「桐塑(とうそ)」という素材については、「自在に成形することができ、磨くと独特のつやが出る」とも。
開廊時間は12時~19時(最終日は17時まで)。日曜・月曜休廊。入場無料。4月1日まで。