ギャラリー椿（中央区京橋3）で6月25日から、画家・内藤亜澄（あずみ）さんの個展が始まった。

内藤亜澄展の会場風景

　内藤さんは1983（昭和58）年生まれ。大学では版画を学んでいたが、2009年ごろからは絵画を主に手掛けるようになった。

　シュールレアリスムの「デペイズマン」、ドイツ表現主義、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンなどのアルバムジャケットを手掛けたデザインチーム「ヒプノシス」などから影響を受けたと話す内藤さん。

　これまで「シェル美術賞」「損保ジャパン美術賞」などの公募展に入選したほか、国内外の個展、グループ展、アートフェアなどで作品を発表してきた。

　同ギャラリーの島田恒平さんは内藤さんについて「まだ若いが、その作品は数年前と比べても格段の進歩を遂げている。シュールレアリスムの作家に分類されることが多いと思うが、それにとどまらない独自の感覚を持ち、体力的なことも含めて大きなサイズの作品を作る力を持つ新進気鋭の作家」と話す。

　会場には昨年から今年にかけて描かれた15点の油彩作品が並ぶ。約半分は50号以上の作品で、最も大きい「ゴールドクラウド」は116.2×294.0センチメートルの大作だ。作品の価格は8万6,400円～129万6,000円。

　「いろいろなイメージや複数の強いモチーフを一つの画面の中で構成し、まとめるのが自分の作品の特徴の一つだと思う。今回の個展はここしばらく取り組んできた『いくつかの風景を合わせて描くこと』の集大成」と話す内藤さん。

　「言葉で表現できることには限界があるというのが、自分が視覚芸術である絵の制作に向かうときの出発点。まずは何も考えずに見てもらい、言語化できないプリミティブな感情のようなものを作品から感じていただけたらうれしい」とも。

　開廊時間は11時～18時30分。日曜休廊。7月9日まで。