1966(昭和41)年創業の老舗ギャラリー「シロタ画廊」(中央区銀座7)で現在、中村美穂さんの個展が開催されている。
中村さんはこれまで日本版画協会第82回版画展山口源新人賞などを受賞してきた新進気鋭の版画家で、昨年、女子美術大学大学院美術研究科美術専攻版画研究領域を修了した。現在、日本版画協会準会員。
大学院修了後、初の本格的な個展となる同展。会場にはここ2年ほどの間に制作された、街中を流れる川、コンビニエンスストア、上野の不忍池、花火大会の会場といった「さりげない日常の風景」を淡い色合いで表現した水性木版画作品18点が並ぶ。作品販売価格は6,480円~9万5,040円。
「作品の元となる風景は、見慣れた街並みや初めて訪れた場所などさまざま」と話す中村さんは、心に残った風景から描き起こしたスケッチを基に1作品につき6枚の版木を彫り、水で湿らせた和紙にバレンで刷りながら色を重ねて1枚の版画作品を完成させるという。
「季節ごとに変わる風の匂いや光の感触、そこに暮らす人々の気配といったそれぞれの場所が持つ生命感に心を引かれる、その感覚を大事にとどめておきたくて、日々制作をしている。これからもきれいだと思うものを素直に描いていければ」と中村さん。
開廊時間は11時~19時(最終日は17時まで)。日曜・祝日休廊。12月24日まで。