今年2月に96歳で亡くなった日本文学研究者のドナルド・キーンさんを追悼する講演会と展示が9~10月、千代田区立日比谷図書文化館(千代田区日比谷公園1)で行われる。
キーンさんは1922年、米・ニューヨーク生まれ。コロンビア大学在学中に日本文学と出合い、1953(昭和28)年に京都大学に留学。谷崎潤一郎、川端康成、安部公房、司馬遼太郎らと交流を持ち、近松門左衛門、三島由紀夫らの作品の英訳も手掛けた。
「日本文学の歴史」「百体(はくたい)の過客(かかく)」「明治天皇」など多くの著作があり、2008(平成20)年には文化勲章を受章した。
追悼企画はキーンさんの功績を振り返り、日本文学や日本語へのキーンさんの思いを未来につなげようとするもの。
同館3階図書フロアのエレベーター前ホールでは9月1日から、「ドナルド・キーンが遺(のこ)したものと日本語教科書」と題した展示を催す。19歳のキーンさんが米国海軍日本語学校で使い、約70年後に「教科書の傑作である」と高く評価した「標準日本語讀本」の復刻版やキーンさんの著作、「写真で綴(つづ)るドナルド・キーンのあゆみ」などのパネルを展示する。10月20日まで。
地下1階の日比谷コンベンションホール(大ホール)では9月25日、「ドナルド・キーン・センター柏崎」(新潟県)の中津義人副館長による「ドナルド・キーンが遺したもの~映像を通して観(み)る」、10月18日には日本語教育研究者の河路由佳さんによる「ドナルド・キーンの日本語」の2つの講演会を開催する。
講演会はいずれも19時から。参加費は一般=1,000円ほか。現在、事前申し込みを受け付けており、各回定員の200人に達し次第、締め切る。
開館時間は10時~22時(土曜は19時まで、日曜・祝日は17時まで)。第3月曜休館。