
「椿姫」でヴィオレッタ役を演じるマリア・カラス(1958年)(部分) Houston Rogers (C) Victoria and Albert Museum, London
第1幕「ディーヴァの誕生」、第2幕「ディーヴァの再生・復活」では、それぞれ6つの章でディーヴァたちの歩みを紹介します。さらに、日本展のみの特別展示として、日本を代表するディーヴァである美輪明宏を紹介することが決定しました。また、ディーヴァたちが互いに尊敬の念を持って交流し、発したメッセージを紹介する「シスターフッド」のセクションも新たに設けます。ディーヴァたちの歌声に包まれる特別な演出とともに巡る「ディーヴァ展」に、ぜひご期待ください。
https://www.youtube.com/watch?v=1kiywU-ApSw
ディーヴァ展 ティザー映像
展覧会概要
2027年3月24日より、国立新美術館において「ディーヴァ展」を開催します。
本展は英国ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)が企画し2023 年に同館で開催されました。その後世界5カ国を巡回し、各地で大きな反響と話題を呼んだ展覧会が、アジアで唯一、そして最後の開催地である東京で、日本展のみの展示作品を加え、そのフィナーレを飾ります。
その歌声で世界を魅了し、時代を動かしてきたディーヴァ
本展は、19世紀から現代にいたるディーヴァの歴史とその概念の変遷をたどり、その圧倒的な創造性、社会的な影響力、文化的意義を考察する展覧会です。
彼らの歌声、表現、そして揺るぎない信念は、ファッションやアート、デザインはもとより、ジェンダーの平等、社会にまで大きな影響を与え、多くの人々に勇気とインスピレーションをもたらしてきました。
オペラ、舞台、映画、ポピュラー・ミュージックの世界で活躍する約100 名の歌手・パフォーマーたちを紹介し、ディーヴァたちの軌跡を通して、彼らが既成概念や偏見に挑み、自らの声と表現によって新たな時代を切り拓くことで、多くの人々を勇気づけていったその歩みを紹介します。
本展のみどころ
1. V&Aならではのキュレーションと日本展独自の特別展示
日本初公開の貴重な衣装や展示作品の数々、日本展ならではの新たな魅力も
ロンドンのV&Aが企画・制作した本展では、V&Aの所蔵品に加えて個人蔵の貴重な衣装や資料、約280点を展示します。マリア・カラス、マリリン・モンロー、アデル、レディー・ガガ、エルトン・ジョン、リアーナ、ビョークをはじめとするディーヴァが印象に残るシーンで実際に身に着けた約60点の貴重な衣装を中心に、写真、映像、雑誌、ポスター、LP、さらには、ディーヴァたちをモデルに制作された版画作品など、多彩な作品を通して100名にのぼるディーヴァの世界を描き出します。また、日本展独自の特別展示として、日本を代表するディーヴァである美輪明宏を紹介します。

V&A の「ディーヴァ」展の展示風景(C) Victoria and Albert Museum, London 
ジャンヌ・ダルクを演じるサラ・ベルナールのポスター(C) Victoria and Albert Museum, London
【貴重な展示作品】
初期ディーヴァの姿を伝える、希少な作品
・ハリウッド・ヘリテージ美術館所蔵、クララ・ボウが映画「ワイルド・パーティー」(1929年)で着用したドレス(現存が確認されている唯一の衣装で、アメリカ国外ではめったに公開されないもの)
・ジェニー・リンドに贈られたパピエマシェの箱(1848年に病院支援のために行ったチャリティ・コンサートへの謝意として贈られたもの)
伝説的パフォーマーのキャリアの節目を刻む衣装
・マリア・カラスがロイヤル・オペラ・ハウスでの初出演作「ノルマ」(1952年)と晩年の出演作「トスカ」(1964年)で着用した衣装
・マリリン・モンローが映画「お熱いのがお好き」で着用した黒のフリンジドレス
バレエ・オペラ史を彩る衣装
・タマラ・カルサヴィナがバレエ・リュス「ラ・カンティニエール」で着用した衣装
・ジェシー・ノーマンがロイヤル・オペラ・ハウス「ナクソス島のアリアドネ」のアリアドネ役で着用した衣装
著名デザイナーが手がけた衣装
・エルトン・ジョンが50歳の誕生日パーティーで着用した衣装(サンディ・パウエルによるデザイン)
・シェールの衣装群(ボブ・マッキーによるデザイン。第1回ロック・ミュージック・アワードで着用した煌びやかなツーピースを含む)
・ジョイス・ディドナートの赤いサテンドレス(ヴィヴィアン・ウェストウッドによるデザイン)
・ビョークがアイスランドのレイキャヴィークでの公演(2021年)で着用したガウン(メゾン ヴァレンティノによるデザイン)
・リアーナがメット・ガラ(2018年)で着用した衣装(ジョン・ガリアーノ/メゾン・マルジェラによるデザイン)
・レディー・ガガがゴールデン・グローブ賞授賞式(2019年)で着用したガウン(メゾン ヴァレンティノによるデザイン)
衣装に込めたメッセージと自己表現
・ジャネール・モネイがミュージックヴィデオ「PYNK」で着用した女性器をモチーフとしたパンツ
・リゾのボリュームのあるケープとメッセージ入りのサッシュ(ヴィクター&ロルフによるデザイン)
・ビリー・アイリッシュがグラストンベリー・フェスティバル(2019年)で着用したアンサンブル(ステラ・マッカートニーによるデザイン)
・プリンスのためにデザインされ、本人が着用したステージシューズ
2.舞台芸術、映画、ポピュラー・ミュージックの200 年にわたる歴史をフェミニズムの視点を加えて検証
ディーヴァという存在の変遷を多角的に見つめる画期的な展覧会
ディーヴァたちがいかに圧倒的な創造性と表現力で文化に影響を与えてきたか。家父長制を規範とする男性中心の社会の中で、女性やクィアの歌手・パフォーマーたちが自己表現を通して、いかにして主体性を獲得し、既存の価値観や偏見に挑み続けてきたのかを見つめます。さらに、「ディーヴァ」という言葉の意味が歴史の中でどのように展開し、時代を超えて受け継がれていったのかを検証します。
3. ディーヴァの「歌声」に包まれる特別な鑑賞体験
本展では、ディーヴァたちの音楽や映像とともに展示空間を巡る演出によって、それぞれの時代を象徴するディーヴァたちの存在感や創造のエネルギーを体感できます。展示作品を一つひとつ見るだけでは得られない、その時代の空気や熱量まで感じられることも本展ならではの魅力です。

ビヨンセ「レモネード」1.、ビリー・アイリッシュ「ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?」2. 、エイミー・ワインハウス「バック・トゥ・ブラック」2.、ティナ・ターナー「シンプリー・ザ・ベスト」3.、マドンナ「アイム・ブレスレス」3.、ドリー・パートン「ナイン・トゥ・ファイブ・アンド・オッド・ジョブズ」1.、ビョーク「フォソーラ」4.、リアーナ「グッド・ガール・ゴーン・バッド」2.、ローリン・ヒル「ミスエデュケーション」1.、アデル「30」1.、クイーン「ザ・ワークス」1.、アニー・レノックス「ディーバ」1.、ビリー・ホリデイ「奇妙な果実」2.、プリンス「パープル・レイン」3.、シャーデー「ラヴァーズ・ロック」1.、レディー・ガガ「ボーン・ディス・ウェイ」2. ジャケット写真提供: 1.株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ 2.ユニバーサル ミュージック合同会社 3.ワーナーミュージック・ジャパン 4.BIG NOTHING
展覧会構成
第1幕 ディーヴァの誕生
第1章 清らかな女神:初期のプリマドンナ
第2章 ヴィクトリア朝時代の舞台のヒロイン
第3章 ダンサーとショーガール
第4章 サイレントの女神たち
第5章 ハリウッドのディーヴァ
第6章 比類なき歌姫
19世紀のオペラ界の歌姫から20世紀のショービジネス界で活躍した俳優、パフォーマー、さらに主役を担ったプリマドンナに目を向け、「ディーヴァ」という言葉が指す対象とイメージの変遷をたどります。

「椿姫」でヴィオレッタ役を演じるマリア・カラス(1958年)Houston Rogers (C) Victoria and Albert Museum, London

1848年12月28日に催されたクイーンズ・カレッジ病院(バーミンガム)を支援するチャリティ・コンサートの際にジェニー・リンドに贈られたジェネンズ&ベトリッジ製パピエマシェの箱(螺鈿(らでん)象嵌(ぞうがん)・彩色画付)

ルネサンス劇場(パリ)で上演されたサラ・ベルナール主演の「ジスモンダ」のポスター、デザイン:アルフォンス・ミュシャ(1895年)(C) Victoria and Albert Museum, London
映画「お熱いのがお好き」のシュガー・ケーン・コワルチク役を演じるマリリン・モンローが着用した衣装、デザイン:オリー=ケリー(1959年)(C) Victoria and Albert Museum, London
第2幕 ディーヴァの再生・復活
世界を動かす/RUN THE WORLD
自由への旅立ち/I WANT TO BREAK FREE
バックラッシュブルース/BACKLASH BLUES
孤独の中で/ALL BY MYSELF
自分を表現する/EXPRESS YOURSELF
スター誕生/A STAR IS BORN
1960年代の第2波フェミニズムの展開を起点とし、公民権運動から現代にいたる時間軸の中で、ディーヴァたちの変遷をたどり、その活躍が性や人種に関する社会的な解放と多様な生き方の承認をめぐる闘いに、いかに貢献してきたのかを紹介します。
※第2波フェミニズムとは、女性参政権の獲得を目指した第1波フェミニズムに続き、「個人的なことは政治的なこと」というスローガンのもとに、社会構造における男女の不平等、不公平を解消しようとする運動です。

ドルリー・レーン王立劇場(ロンドン)のステージに立つグレイス・ジョーンズ(1981 年10 月10 日)Photograph @ David Corio
ビヨンセが着用したヘッドピース、デザイン:ヴィッキサージュ(2011年)(C) Victoria and Albert Museum, London

グレイス・ジョーンズが着用したビスチェ、デザイン:イッセイ・ミヤケ、V&A の「ディーヴァ」展の展示風景(C) Victoria and Albert Museum, London
ジャネール・モネイがミュージックヴィデオ「PYNK」で着用した衣装、V&A の「ディーヴァ」展の展示風景(C) Victoria and Albert Museum, London
プリンスが着用した靴(C) Victoria and Albert Museum, London

グラミー賞授賞式(1994年)でホイットニー・ヒューストンが着用したドレス、V&A の「ディーヴァ」展の展示風景(C) Victoria and Albert Museum, London
エルトン・ジョンが50歳の誕生日パーティーで着用した、ルイ14世に着想を得て作られたアンサンブル、デザイン:サンディ・パウエル(1997年)(C) Victoria and Albert Museum, London
第1回ロック・ミュージック・アワード(1975年)でシェールが着用したアンサンブルのデザイン画、デザイン:ボブ・マッキー Bob Mackie Design Group, Ltd.
日本展特別展示
美輪明宏
本展では、日本を代表するディーヴァとして美輪明宏(1935-2026年)にフォーカスします。長崎市に生まれ、被ばくを経験した美輪は10代の頃より声楽を学び、高校進学を機に上京。その後、シャンソン喫茶「銀巴里」で本格的に歌手活動を開始しました。当時の男性ファッションの概念を覆すレースやサテンを用いたシャツを着用し、既存のジェンダー規範を超えた存在として自らを表現するようになりました。そして、自ら訳詞したシャンソン「メケメケ」(1957年)がヒットすると、広く世間にその名が知られるようになったのです。その後、不遇の時代を経て、炭鉱労働者に捧げた「ヨイトマケの唄」(テレビでの発表は1965年)をはじめ社会で厳しい状況に置かれている人々をテーマとした歌を手掛け、シンガー・ソング・ライターの魁として揺るぎない地位を確立しました。2018年秋には東京都より多方面での功績をたたえられ、平成30年度東京都名誉都民の顕彰を受けました。長きにわたって映画、舞台、執筆等ジャンル横断的な活動を続け、圧倒的なパフォーマンスを披露するとともに、一貫して反戦のメッセージを訴え、異性愛中心主義にもとづく差別に対して闘い続けた唯一無二のディーヴァです。
シスターフッド
マリリン・モンローとエラ・フィッツジェラルド、近年では、マドンナとカイリー・ミノーグなど、本展で紹介する数多くのディーヴァたちがほかのディーヴァたちと交流を持ち、尊敬し合い、互いを勇気づけ、多くの人々に「あなたは一人でない、一緒に頑張ろう」というメッセージを発信し続けてきました。日本展の特別セクションでは、シスターフッドの思想に通じる活動、ディーヴァたちの熱きメッセージを紹介します。

ロゴについて

細くしなやかな、一本の糸
幾筋もの糸が重なり合い、編み込まれ、束となる
束は力強くうねり、光を抱いて、いっそう美しく輝いていく
