書籍のカバー装画などで知られる人気イラストレーター松尾たいこさんの初となる大型個展「Taiko Matsuo_Layered」が現在、「ポーラ ミュージアム アネックス」(中央区銀座1、TEL 03-3563-5501)で開催されている。
広島県生まれの松尾さんは、広島女学院短期大学を卒業後、マツダで10年間システム開発を担当。1995年に退職し、上京して「セツ・モードセミナー」(新宿区)へ入学。翌年より福井真一さんのイラストレーション教室へ通い、1998年に独立した。広告、CDジャケット、雑誌、書籍などのほか、ファッションブランドやミュージアムショップにも作品を提供するなど幅広い分野で活躍。著書に絵本「空が高かったころ」(ポプラ社)、角田光代さんとの共著「Presents」(双葉社)などがある。
初めての大型個展へ向け、会場は「森」をテーマに構成。入り口に山脈を描いた5メートルサイズの新作を配し、「森の奥に分け入っていくように」(同ギャラリー広報担当の伊藤さん)、松尾さん独自の色彩感覚で動物や植物を描いた作品群を展開する。奥にはモチーフを出力した透明フィルムをレイヤー状に重ね合わせ、光を当ててさまざまな角度から眺めることができるインスタレーション作品も。
震災後に手掛けたという桜を描いた作品は、青い花びらの桜にピンクの空という色使い。「いつもと同じ気持ちでは桜が見られない」という松尾さんの気持ちが込められているという。併せて書籍カバーの原画作品も並べるなど、新作の大型作品5点を含めて約50点を一堂に紹介している。
開催時間は11時~20時。入場無料。5月29日まで。