「オザミデヴァン本店」(中央区銀座2)、「ヴァンピックル」(銀座4)など、銀座で飲食店5店舗を展開するオザミワールド(銀座2)は6月15日、いわて南牛一頭を仕入れ全店で被災地支援フェアを始める。
1997年創業の同社。ワインの輸入販売を基軸に「ワインが共存できる店作り」をテーマに据え、フレンチ、スペイン料理、炭火焼料理、和食など幅広い業態を展開。銀座では本店、ヴァンピックルのほか、カタルーニャ料理店「バニュルス」(銀座2)、日本料理店「大野」(銀座7)、カジュアルフレンチ「パリのワイン食堂」(銀座3)を展開する。
東日本大震災発生当日、全店で「予約は全てキャンセルになった」と代表の丸山宏人さん。翌日以降も営業を続けたが、売り上げは通常の「7~8%」までに激減し人件費もままならない状態に陥り、創業以来、「倒産の危機」に追い込まれたという。被災地の状況を知って現地に赴くことも考えたが、「まずは自分たちを守らなければと思った」と丸山さん。加えて「東京にいてできることを」との思いで支援企画を立ち上げた。
全店に募金箱を置き、店頭では通常提供価格から500円~1,000円程度を割り引いたチャリティーワインを販売。来店客の募金、チャリティーワイン約800本の売上全額に加えて全メニューの売り上げの一部を義援金に充て、5月末までに集まった寄付金は300万7,560円に上った。6月以降はドリンクに限定して売り上げの一部を寄付し、支援を続けている。
本店は深夜営業が特徴だったが、「節電対策」をきっかけに営業時間を見直しランチ営業を始めた。オードブルの盛り合わせ、メーンディッシュ、デザート、コーヒーをセットにして売り上げの一部を寄付に充てる「チャリティーランチ」(1,050円)は「全店一のコストパフォーマンス」(丸山さん)の内容で人気を集め、「昼間にもお客さんが足を運んでくれるようになった」という。現在は深夜営業を中止し、ランチ営業を続ける。
今月15日から始める支援フェアは、同社が5年前から展開してきた一頭買い企画をアレンジしたもの。東北地方の品評会で最優秀賞を受賞した「いわて南牛」一頭を仕入れ、いろいろな部位を取り分け。各店のシェフが肉の状態を見極めて、各店でオリジナルメニューを展開する。
本店では、メーンを牛ランプ肉のロースト、牛肩肉のドーブ、牛のコンソメ含め煮から選ぶ「優勝牛特別コースメニュー」(8,000円)を提供。ヴァンピックルでは「特上もも肉のタタキ」(1,200円)、「つくね串焼き」(600円)など、大野では「ヒレ肉のみそ漬け」(2,100円)、「ヒレ肉昆布舟焼き」(4,500円)など、パリのワイン食堂では特製ハンバーグを提供。全ての部位が無くなるまで続け、「1週間~10日程度」での終了を見込む。
客足は「5月に入ってから落ち着いたという印象」と丸山さん。5月の後半から6月にかけて、売り上げは前年の90%程度まで回復した。今後については、「ドリンクの売り上げの寄付は復興が落ち着くまで続け、福島、宮城、岩手の県に直接渡そうと考えている。これからも日々コツコツと毎日支援活動を続けていきたい」と話す。
営業時間・定休日は店によって異なる。