築地場外市場(中央区築地4)で現在、2015年の築地市場移転後の「にぎわい創出」などを目的に一般客や小料理店などの小規模仕入れに対応する新・市場「鮮魚マーケット」開業に向けた計画が進行している。
築地市場は1935(昭和10)年に開業。水産物を中心に、青果、鳥卵、各種加工品などを取り扱う日本を代表する卸売市場として知られる。市場内に隣接する築地場外市場には、場内では扱わない加工物などを販売する小売り約400店が出店。市場への仕入れ客を主なターゲットに、「つけもの」「のり」「茶」「卵焼き」など専門性の高い商品の販売を続けてきた。
施設の老朽化や場内の狭あい化などを理由に、東京都が市場の移転を決定したのは2001年。2005年の整備計画では、2012年の開場をメドに工事を進めることが示されたが、移転先となる豊洲エリアの土壌汚染問題が浮上。現在は汚染対策工事を経た2015年の豊洲新市場開業に向けて整備が進んでいる。
築地市場の移転計画に伴った2006年、築地場外エリアでは中央区の働きかけによって場外6団体が名を連ねたNPO法人「築地食のまちづくり協議会」を設立。「市場移転を見据えたまちづくり」を標榜する法人で、2000年の大江戸線「築地市場駅」開通以来増えつつあった一般客に向け、イベントやワークショップ、値引きセールなどを積極的に展開。「プロ専用」というイメージの強かった築地エリアへ一般客を取り込んできた。
鮮魚マーケットでは、築地市場が移転することで手薄になる「鮮魚」をメーンに取り扱う。スーパーなどの大口利用に便利な物流センターとなる予定の新豊洲市場に対抗する形で、小規模飲食店などの小口買い出し人、一般客らに向け、少量・多品目な品ぞろえを目指す。
場所は、場外市場内で中央区が管轄する小田原橋臨時駐車場約3070平方メートルと、築地川東支川バイク置き場約2690平方メートル。駐車場、配送センター、仮店舗、イベント広場として、現市場の閉場が予定される2015年に先立った2014年10月の開業に向け、工事を進める計画。
同NPO事務局長の鹿川賢吾さんは「鮮魚マーケットではプロの目利きにかなう品質と価格で品物を提供できるように努力していく。プロが納得すれば、一般の買い物客の方にも満足してもらえるはず」と話す。「(既存の場外市場についても)喫煙所を設置したり駐車場を充実させたりと喜んでもらえるようにサービスを広げているので、これから年末にかけて買い出しに足を運んでもらえれば」とも。