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蔵書43万点以上の演劇・映画専門「大谷図書館」、運営費募る

閲覧室では、カード目録とパソコンで資料検索が可能。人物は司書の須貝弥生さん(左)と、武藤祥子さん(右)

閲覧室では、カード目録とパソコンで資料検索が可能。人物は司書の須貝弥生さん(左)と、武藤祥子さん(右)

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 演劇と映画の専門図書館として創立56年を迎える松竹大谷図書館(中央区築地1、TEL 03-5550-1694)が現在、クラウドファンディング型サービス「READYFOR?」で運営資金の支援を募っている。

代表的な演目には、公演ごとに何十種類もの台本が集まる

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 松竹創立者の一人・大谷竹次郎が文化勲章を受章したのを機に、「自身と松竹が所蔵する膨大な資料を1カ所に集めて管理し、一般に公開して社会のために役立てよう」との思いで1956(昭和31)年に設立された同館。文化勲章年金を中心に、松竹からの寄付金などを資金に財団法人として運営を開始した。

 開館当初は、歌舞伎を含めた演劇・映画の台本を中心に約2万点、スチール写真約6万点、1951(昭和26)年に逝去した竹次郎の双子の兄・白井松次郎の蔵書約3000点などを所蔵。資料は近年は毎年約9000点ずつ増え続け、現在までに他の興行会社や有志からの寄贈も合わせて43万点以上の資料を所蔵する。

 くずし字で書かれた歌舞伎の台本や浄瑠璃本、演劇・映画・テレビの台本、図書、雑誌、演劇・映画のプログラム、ポスター、写真など、通常の図書館に比べてはるかに多様な資料を取りそろえる同館。台本などは板目紙でカバーを作成して長期保存に耐えられるように補強し、スチール写真の裏には作品タイトルや上演年月などの説明を一枚ずつ記載するなど、「質のいい整理」に工夫を凝らす。

 300年ほど前の浄瑠璃正本や、阿国歌舞伎の様子を伝える貴重な資料「かふきのさうし」(非公開)をはじめ、市販されていない演劇台本・映画シナリオなども多くそろえ、請求すればだれでも無料で閲覧できる。現在はADK松竹スクエア3階に書庫約83坪を構え、14席の閲覧室には「熱心な歌舞伎ファン」「過去の上演台本を確認する俳優」「研究者」「資料の裏取りを行う編集者」など、1日平均14人が足を運んでいる。

 今回の運営資金募集は、2006年に交付された公益法人制度改革に伴うもの。これを受けて昨年6月に公益財団法人認定を受けたが、「もともと収入の半分は寄付金で、コピー代などの利用料はごくわずか。基本的には収益事業がない財団で赤字が慢性化している」(同館主任司書の須貝弥生さん)。これが長く続くと、最悪の場合「認定取り消し」に該当する可能性があり、図書購入、システム保守など本年度の運営資金200万円の支援募集に乗り出した。

 支援募集には、オーマ(文京区)が運営するクラウドファンディングサービス「READYFOR?」を使う。9月3日に募集を始め、25日現在までに118人が参加して87%の支援申し込みを達成している。松竹のメディア担当者からの提案でサービス参加に踏み切り、これまで「ソーシャルメディアには詳しくなかった」という須貝さん。「大谷図書館の存在を知らなかったという方からもたくさんメッセージを頂き、『今度行ってみます』という声もあった。想像したことがない広がりに驚いている。ありがたい」と話す。

 募集は10月23日まで受け付ける。支援は1口3,000円~。支援額に応じてスポンサーにはポストカード、台本カバーに名前を載せる権利などの特典を設ける。

 「図書館は、ほそぼそとでも続けていくことが大切。規模を縮小することなく使ってもらえるように、支援していただければ。正確に検索できるように資料を確実に整理して公開するのは大変な作業だが、この図書館に詰まっている日本の芸術文化の宝を守っていきたい」と須貝さん。

 開館時間は10時~17時。土曜・日曜・祝日・毎月最終木曜休館。

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