独自の画力、配色センスで国際的に知られる美術家・横尾忠則さんの「装丁」の仕事に着目した「横尾忠則 初のブックデザイン展」が現在、「ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)」(中央区銀座7、TEL 03-3571-5206)で開催されている。
横尾さんは1936(昭和11)年兵庫県生まれ。1960年代からグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活躍し、1972(昭和47)年にはニューヨーク近代美術館で個展を開催するなど国際的に活躍。1981(昭和56)年に画家に転向し、パリ、ベネチア、サンパウロなど世界各国のビエンナーレに招待出品。力強いタッチ、奇抜な色使いなど独自の作風で知られ、海外でも高い評価を得ている。
絵画・ポスターなどの展示会は国内外で開催されてきたが、ブックデザインのみに着目した個展は初めて。会場では1960年代から2012年までの横尾さんのブックデザインを一堂に取りそろえ、「90%以上が作家から直接装丁を頼まれる」という横尾さんの、「常識的なデザイン語法に反旗をひるがえす」独自の方法論を紹介する。
1階では「想像力×想像力」と題し、瀬戸内寂聴さん、三島由紀夫などゆかりの作家の書籍を紹介。細江英公さんが三島由紀夫を撮影し、横尾さんが装丁を担当した豪華本「薔薇刑 新輯版」や、フランスの画家クロビス・トルイユの作品を横尾さんが模写して再構成した装画が印象的なマルキ・ド・サドの選集なども並べ、それらにアイデアスケッチ、版下、指定紙、校正刷り、横尾さん自身によるコメントを添えて展示する。
地下1階は、横尾さんが「創作行為の一環」と捉える「自著」を集めた「自著(自我)の装幀」と、雑誌や文庫本など膨大な書籍を棚一杯に並べた「時間と空間の芸術」で構成。自著113冊を含めて、会場で展示する書籍は約800冊に及ぶ。
開催時間は11時~19時(土曜は18時まで)。日曜、祝日休館。入場無料。11月27日まで。