銀座の屋上でミツバチを育てる活動を屋上緑化や地域のネットワーク形成へと発展させたNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」理事長の高安和夫さんが、その活動をまとめた書籍「銀座ミツバチ奮闘記 都市と地域の絆づくり」(清水弘文堂書房)を出版した。
松屋銀座で屋上野菜「収穫祭」-ホテル西洋銀座料理長お手製カレーも(銀座経済新聞)
1965(昭和40)年千葉県生まれの高安さんは1999年、農業生産法人「アグリクリエイト」へ入社。2003年に八丁堀に同法人東京支社を構えて支社長に就任したのをきっかけに、2004年に食や農をテーマにした勉強会「銀座食学塾」を設立。活動を通してつながりを広げ、2005年に「ミツバチに屋上を貸してくれるビル」を探していた養蜂家・藤原誠太さんと巡り会った。
勉強会を通してつながりのあった「紙パルプ会館」(中央区銀座3)専務の田中淳夫さんとともに養蜂活動をスタート。会館屋上で採集された「銀座産」ハチミツは、松屋銀座、ホテル西洋銀座などでスイーツに盛り込んで販売され、「ミツバチが立ち寄れる場所に」と、マロニエゲート、松屋銀座などの屋上緑化にもつながった。メディアにも数多く登場。もともとハチを飼うのは(刺されたりすると)危険では」と不安視する声も当たったというが、徐々に地域住民からの理解を得、「街の構成員」として認知されるようになっていったという。
「ミツバチの飼育を通じて銀座の環境と生態系を感じながら、採れた蜂蜜などを使って銀座の街との共生を感じたい」という思いで現在も活動は続いている。昨年は840キロを採蜜。その活動は、銀座に地域生産者を招き物販やシンポジウムを通して応援する「ファーム・エイド銀座」や、生産地へのツアー開催などへと広がりを見せている。
同書では、7年目を迎えた銀座の都市養蜂と屋上緑化プロジェクトの舞台裏を紹介。銀座、生産地とのつながりを、高安さんの熱意、関わりあったさまざまな人々の思いとともに具体的につづっている。併せて、震災復興に向けた取り組みや、アジアへと舞台を広げる構想なども紹介。
春になればミツバチの動きも活発になり、松屋銀座など屋上農園で飛び回る姿を見ることができるようになる。「銀座のミツバチの姿を通して、自然や農環境を身近に感じていただければうれしい」と高安さん。
価格は1,680円。