銀座メゾンエルメス(中央区銀座5)8階「フォーラム」で現在、「逆転移」リギョン展が開催されている。
アーティストトークで作品の解説をするリギョンさん-「逆転移」リギョン展
リギョンさんは1969年、韓国全州生まれの現代アーティスト。慶熙(きょんひ)大学を卒業後、1998年に英ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで研究修士号を取得。韓国のほか、日本、英国、インド、ドイツ、中国、アルゼンチンなどで多くのグループ展に参加し、個展も開催。初期作品から一貫して、光をテーマに制作を行っている。
同展では、2001年制作の「善悪の知恵の木」と、新作「蛇の口づけ」の2つの作品を展示。「善悪の知恵の木」は、目のくらむような強い光が満ちた真っ白な空間に1人だけで入ることで、方向感覚や距離感が消失し、視力が奪われたかのような感覚を味わうインスタレーション作品。
「蛇の口づけ」は「不可視そのものを表現することに焦点を当てた」作品。フォーラムのメーンスペースの床一面に螺鈿(らでん)細工を思わせる乳白色に光るパネルを敷き詰め、シンプルなライトとサウンドを用いたインスタレーションとなっている。リギョンさんの過去の作品のように精密な装置でコントロールした光を用いるのではなく、ガラスブロック越しにフォーラム全体に満ちる自然光の移り変わりで「太陽の光を描く」ことを目指している。
来場者は、靴カバー(同フォーラムで配布)を使うか、靴を脱いでパネルを敷き詰めたスペースに上がり、座ったり横になったりして自由に時間を過ごすことができる。
「貝が内包する光が太陽光に反射し、天候・時間によっても刻々と変化する光は、1分たりとも同じではない。この空間でゆったりと何かを考えたりして、生活のスピードを緩めてほしい」とリギョンさん。
開館時間は11時~20時(日曜は19時まで)。不定休(年末年始はエルメス銀座店の営業日に準ずる)。入場無料。来年1月7日まで。