波除稲荷(なみよけいなり)神社(中央区築地6)で6月10日~12日、江戸時代から続く夏越し大祭「つきじ獅子祭」が行われる。
同祭の起源は、一面、海だった築地が埋め立てられた1659年にさかのぼる。雲を従える「龍(りゅう)」、風を従える「虎」と共に、万物を一声で威服させるといわれる「獅子」の巨大な頭、数体が奉納され、これを担いで回ったのが始まりとされる。
大正時代には約30対の夫婦の獅子頭が存在して町内を練り歩いていたというが、1923(大正12)年に起きた関東大震災で現存する金獅子以外は全焼し、それ以降はみこしだけの巡行が続いた。
「つきじ獅子祭」には3年ごとに開催される本祭(ほんまつり)と、その間の年に行われる陰祭(かげまつり)があるが、今年は陰祭の年に当たる。
メインとなる12日の渡御(とぎょ)祭では、雌の大獅子「弁財天お歯黒獅子」の巡行を行う。一部区間には女性限定の担ぎ手の区間も設ける。
同神社禰宜(ねぎ)の鈴木淑人さんは「昨年は築地場内市場がある最後の本祭だったので、4日間の期間中に約5万人が来場した。渡御祭には市場関係者、観光客も多くいらっしゃった」と話す。
「今年は『弁財天お歯黒獅子』の巡行が一番の見どころ。11日には重要無形民俗文化財の若山社中の皆さまによる『江戸里神楽』の奉納も本殿で行われ、境内からもご覧になることができる」とも。
期間中は約60店ほどの露店も出る予定。催し物の開催時間や巡行の行程などの詳細は同祭特設ホームページで確認できる。