松竹(中央区築地4)と歌舞伎座(銀座4)は8月26日、共同で検討する歌舞伎座の建て替え計画概要について詳細を発表した。
歌舞伎の殿堂として晴海通りに位置する歌舞伎座(銀座4)は1924(大正13)年12月に竣工した第3期を基に、1950(昭和25)年の戦災被害による改修工事を経たもので、現在の建物は第4期目。築後84年、改修後58年が経過し、建物の老朽化や劇場舞台機構の陳腐化を懸念し、耐震性能や防災機能の確保、バリアフリー化へ対応する4階建ての劇場の建て替えを行うと同時に、背面には地上29階、地下4階建ての賃貸オフィスビルを新たに建設する。設計は三菱地所と隈研吾建築都市設計事務所が共同で手がける。敷地面積は6,790平方メートル。
2013年春に完成を予定する第5期の歌舞伎座は、劇場部分は従来通りの低層で、桃山風の外観を継承。劇場内には歌舞伎文化を啓発するギャラリー施設のほか、文化の交流拠点となる「国際文化交流センター(仮称)」、「歌舞伎アカデミー(仮称)」の新設を予定し、複合文化拠点の形成に力を入れる。新たにエレベーターやエスカレーターを設置するほか、劇場内各フロア、各施設へのバリアフリー化を整備する。借地権は歌舞伎座が所有し、同社が事業主となる。
併設するオフィスビルは、高さ約135メートルの高層ビル。東京メトロ・東銀座駅と直結し、劇場棟とは地下でつながる。公共的駐車場の整備、防災支援機能の強化など機能向上を図るほか、屋上庭園の完備や晴海通り沿いの街路樹の整備など環境に配慮した都市空間の創出も視野に入れる。松竹が100%出資のSPCを設立し、同SPCが借地権を所有し、事業主として機能する。
総工費は約430億円。そのうち劇場部へは約180億円が投じられる。着工は来年5月を予定。