老朽化のため改修工事に入る歌舞伎座(中央区銀座4)で4月30日、閉場式が執り行われ歌舞伎役者約200人が登壇し歌舞伎座に別れを告げた。
閉場式は「昼の部」(12時~)と「夜の部」(16時~)の2部構成で行われ、それぞれ同じ演目を上演。入場券は発売日に即完売となり当日券を求め数日前からチケット売り場に並ぶ人の姿も見られたほどの人気ぶり。歌舞伎座周辺には最後の歌舞伎座を一目見ようとする人たちが押し寄せ、警察が出動し警備に当たった。
演目は尾上菊五郎さん、中村吉右衛門さん、片岡仁左衛門さん、中村勘三郎さん、坂東三津五郎さん、中村梅玉さん、市川團十郎さん、松本幸四郎さんにという豪華キャステンィグによる「都風流」から始まり、通常は女形1人で踊る「京鹿子娘道成寺」を坂東玉三郎さんら5人が披露した。
途中45分の休憩時間中に、これまで歌舞伎座で行われてきたお宝映像が映し出され、「成駒屋」などの掛け声がスクリーンに向かって飛ぶなど盛り上がりをみせたという。
中村芝翫(しかん)さん、坂田藤十郎さん、中村富十郎さんがそれぞれの歌舞伎座への思いを込め口上を行い、最後は歌舞伎役者約200人が壇上に勢ぞろいし、藤十郎さんの発声で手締めを行い、約60年の歴史に幕を閉じた。
都内在住の村山さんは「胸がいっぱい。会場が一つになった手締めが素晴らしかった」と興奮気味に振り返った。昨年1月から始まったさよなら公演を毎月2~3回見に来ていたという都内在住の東園さんと石垣さんは「感無量。都風流など普段ではありえないキャスティングでの演目が見られてうれしい」といい、「幼少のころから訪れていた歌舞伎座だけに思い出もいっぱい。すべてがなくなってしまうかと思うとさみしい」と話した。
着工は5月を予定し、休場中は東銀座の新橋演舞場が歌舞伎公演の拠点となる。歌舞伎座の完成は2013年春を予定し、背面に地上29階建て高さ約135メートルの高層ビルを併設する一大施設としてオープンを迎える。