「巷房(こうぼう)ギャラリー」(銀座1、TEL 033567-8727)で2月21日、「ゴムのあとかゆかゆ」「恋愛はしちゃうもん」「ハハ パパ ババ」など、言葉を作品としてアート活動を行う「ときたま」さんの作品展「ときたま展 コトバのひとりだち」が始まった。
ときたまさんは1954(昭和29)年東京生まれ。大手出版社勤務後に編集プロダクションを経営し、季刊写真誌「デジャ=ヴュ」(フォトプラネット)などを発行。「何か自分でも作品を通して人とコミュニケーションしたい」と写真やオブジェの制作を行うも「反応がいまいちだった」といい、「連れ合い」である写真評論家・飯沢耕太郎さんの「自分が『これだ』と確信の持てるものを」との助言を得て、1993年から日常の発見を言葉を使って表現する活動をスタートさせた。
「人の気持ちや世の中のシステムなどを観察し、そこから発生する感覚を発見するのが好き」とときたまさん。その感覚を「言葉に定着」させ、官製はがきにレイアウトして読者へと郵送する週刊「ときたま」を中心に、これまでガチャや、映像作品など幅広いスタイルで言葉を使ったアーティスト活動を展開する。はがきは17年間ほぼ週1回のペースで送り届け、完成した作品は合計800枚に。はがきの「購読」は公式サイトから申し込み可能で、現在の購読者は50人を数えるという。
会場は、レトロな戦前建築として知られる奥野ビル3階・地下1階にあるギャラリー。3階には全800枚のハガキが壁一面に並び、はがきに書かれた言葉を使ったコラージュ作品を額縁に入れて展示する。地下1階・階段下のスペースでは立体作品も紹介。
大小のマトリョーシカを一列に並べた「次があるしくみ」や、ハート型のフェイクファーに「ふわふわ」と書かれたはがきをのせた作品など、ピンクをテーマカラーに完成した「ポップ」なコラージュ、立体作品は全部で55点に上る。
会期中は「ほぼ会場にいる予定」とときたまさん。展示スタートに当たり、「800枚のはがきの迫力は写真では伝わらない。実物を見に来て言葉を眺め、友達や私や、自分自身とのおしゃべりを楽しんでほしい」とも。
開業時間は12時~19時(最終日は17時まで)。入場無料。今月26日まで。