2010年度カンヌ映画祭でグランプリを受賞した話題作「神々と男たち」が現在、「シネスイッチ銀座」(中央区銀座4、TEL 03-3561-0707)で公開されている。
1996年にアルジェリアで実際に起きた、武装イスラム集団によるといわれるフランス人修道士7人の誘拐・殺害事件を題材にした同作。フランスの植民地支配から1962年に独立した同国では、以降独立戦争を率いたFLNによる独裁政権が続けられてきた。武装イスラム集団は、複数政党制を求めて生まれたイスラム原理主義的政党がFLNのクーデターによって解散した後、独裁政権によって職を失った貧困層らが連合して結成。
作品はアルジェリアの地方にある修道院を舞台に展開する。カトリックの修道士たちは貧しい人とともに働き、診療所として医療行為も行いながら、イスラム教徒の地元民とも「友愛」の関係を築いている。しかし内戦の影響は色濃く、武装イスラム集団は、FLNによる都市での弾圧に追いやられる形で地方や農村部にも活動の範囲を広げて来る。
作中では、フランスを代表する撮影監督キャロリーヌ・シャプティエさんの撮影で、武装集団による市民の虐殺や、外国人殺害の動きを前に修道士たちが何を考え行動したのかを静かな描写で映し出す。メガホンを取ったのは同作が長編5作目となるグザヴィエ・ボーヴォワさん。1967年にフランス北部で生まれ、映画評論家の講演をきっかけに高校を中退してパリへ。マノエル・デ・オリヴェイラさん、アンドレ・テシネさんらの監督作品などでアシスタントを勤め、1991年に初の長編「Nord」を完成。今回の作品は2010年度カンヌ映画祭でグランプリを受賞し、フランスでロングランヒットを記録した。
鑑賞料は一般1,800円ほか。同館ほか全国で順次ロードショー。