近づくと暗闇から次々とクラゲの姿が浮かび上がる映像インスタレーションが現在、「ポーラ ミュージアム アネックス」(中央区銀座1、TEL 03-3563-5501)に展示されている。
手掛けたのは、映像、照明を使ったインタラクティブな空間表現が持ち味のアーティスト・松尾高弘さん。1979(昭和54)年福岡県に生まれ、九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科を修了。展覧会プロデュースや商業空間のデザイン演出、文化施設の常設展示なども幅広く手掛け、自然界の現象や法則性などを取り入れた表現で鑑賞者の体や感覚に直接訴えかける。
世界最大級のデザインの祭典・伊「ミラノサローネ」で発表した「Aquatic Colors(アクアティックカラーズ)」(2009年)を紹介する同展。空間全体に及ぶ同作では、スペース中央にオーガンジーを広げ、プロジェクターを使ってクラゲが浮遊する映像を投映する。クラゲは鑑賞者がオーガンジーに手を伸ばしたり近づいたりすると浮かび上がる仕掛けで、鑑賞者が動くと明滅しながらゆっくりと後を付いてくる。
会場は「少し光が届くくらいの深海」をイメージした薄暗い空間。入り口近くには、天井からアクリルのスティックを垂らし、近づくと上部からLEDの光が雨粒のように落ちてくる新作「White Rain(ホワイトレイン)」も展示し、松尾さんの世界観を伝えている。ポーラビル1階のウインドーでは、同展に併せ、松尾さんの作品を応用したディスプレーも展開している。
松尾さんのマネジャー佐藤さくらさんは「会場では光るクラゲが待っている。作品に触れて参加してもいいし、この空間にいるだけでもゆったりと和やかな気分になっていいただける」と話す。
開館時間は11時~20時。入場無料。7月10日まで。