築地市場は東日本大震災の影響を受けて閉鎖していた場内マグロ卸売場(おろしうりば)の見学を7月26日、再開した。
築地市場で行うマグロの卸売りは、観光ガイドブックなどにも掲載される人気の観光スポットとして知られ、数年前から外国人旅行者などの一般のせり場への立ち入りが目立つようになった。築地市場では通常業務への配慮から昨年5月に受け付けを設け、人数や時間を制限して希望者を先導する「見学会」を実施してきた。
今年3月に発生した東日本大震災直後には、余震などへの配慮から見学エリアを一時閉鎖。7月に入って「余震がほとんどなくなった」(副場長の松村さん)ことから、「見学者の安全が確保できるだろう」と判断し、約3カ月半ぶりの再開へ踏み切った。
子どもたちにとっては夏休み真っただ中の8月9日、早朝5時から始まった受け付けには、外国人観光客、家族連れなどが長い列を作った。見学は先着順に前半と後半に分け、それぞれ60人ずつ、2班に分かれて実施。
せり場では、冷凍マグロの身のチェックする買い手の姿や、値決めの様子を約20分間にわたって見学。場内にロープを張って確保された見学エリアでは、動画でせりの様子を録画する外国人旅行者や、せり場内の買い手に話を聞く小学生の姿が見られた。
清瀬から家族で訪れ、買い手の話を真剣な表情でメモしていた小学生は、築地市場を自由研究のテーマにする予定だという。ニューカレドニアから観光で日本を訪れたカップルは、ガイドブックで見学会を知って来場。「印象的だったが、みんなが何をしているのかを理解するのは難しかった」という。大阪から来た家族連れはネットで見学会の再開を知って来場した。「せりのやり取りが素早くて驚いた。これからすしを食べて帰る」と話し、場内の飲食・物販ブース「魚がし横丁」へ向かった。
マグロ卸売場では1日につき、「生100~800本、冷凍1400~1500本のやり取りがある」と松村さん。「(入荷状況について)震災の影響はほとんど受けていない」とも。
マグロせり場見学希望者は、勝どき門にある「おさかな普及センター」で受け付ける。受け付けは5時~。見学時間は5時25分~6時15分。