広告写真家・杵島隆さんと、杵島さんに師事した加納典明さんの写真作品を、「ヌード」を切り口に紹介する二人展「SCANDAL extra(スキャンダル エキストラ)」が12月9日、銀座「BLD GALLERY(ビーエルディーギャラリー)」(中央区銀座2、TEL 03-5524-3903)で始まった。
今年2月に90歳で逝去した杵島さんの追悼企画。杵島さんは広告写真のパイオニアとして知られる一方、戦後期にはヌードをモチーフにした作品群も展開。桜田門の前で撮影したシリーズ「桜田門」(1958年)を代表格に、撮影のほとんどはゲリラ的に野外で敢行した。ヌードをオブジェに見立て、社会への批評精神あふれたスキャンダラスな作風が特徴で、「8月6日ピカドン広島」「悪魔が長崎天主堂の天使を追い出した」(以上、1945年)、「黒い雨が降った」(1946年)なども制作した。
加納さんは名古屋での活動を経て1962(昭和37)年に上京。商業写真と芸術写真という2ジャンルにまたがって活躍していた杵島さんの下で2年間アシスタントを務め、1963(昭和38)年に独立。「『写真』はあくまで時代に物申し、切り裂く道具であり方法論」という独自のスタイルで知られ、「平凡パンチ」のグラビアページを中心にヌード写真を次々と発表。1969(昭和44)年に渡米すると、NYでモデルやヒップスターが集うパーティーの様子を撮影。帰国後にそれらを掲載した「FUCK」が「当時のNYの気分を映すもの」として一躍名を知られるように。
会場では杵島さんの代表的なヌード写真のほか、発表当時はモノクロ掲載して展示した「FUCK」を初めてオリジナルのカラープリントで紹介。杵島さんから加納さんへと受け継がれた感性を、2人の作品を通して紹介している。
開催時間は11時~19時。入場無料。今月28日まで。