中央区は2月7日、東京都と「築地のまちづくりに関する合意」を交わし、同日に発表した2012年度予算案の中で、かねてから計画してきた新施設「鮮魚マーケット」の設置工事を進めることを発表した。
開業から77年目を迎える築地市場。東京都では施設の老朽化や場内の狭あい化などを理由に2001年、市場の移転を決定。2005年の整備計画では、2012年の開場をめどに工事を進めることを示したが、移転先となる豊洲エリアの土壌汚染問題が浮上。汚染対策工事を経た豊洲新市場開業に向け整備を進めてきた。
今回東京都では、2014年度中に豊洲地区への市場移転を予定すると発表。中央区もこれに同意した。併せて築地市場閉場後の築地エリアのまちづくりについて、約400の専門店がひしめく場外市場など独自の発展を遂げた「伝統」「文化」を認め、これらの特質を「継承」する方向で合意。都有地である築地市場施設のうち「勝どき門駐車場」について、まちづくりのための「有効活用」へ向けた検討に入るという。
中央区では2006年、中央区の働きかけによって場外6団体が名を連ねたNPO法人「築地食のまちづくり協議会」を設立するなど「市場移転を見据えたまちづくり」を標ぼう。にぎわいづくり施設「鮮魚マーケット」の設置計画を進めてきた。今回中央区が発表した2012年度予算案では、2014年度に開設を予定する同施設の設計・建設・開設予算として約3,100万円を計上。これに先駆けて2012年6月には「食に関する情報拠点」の開設を予定し、同施設整備費、運営費などとして3,500万円を計上した。
6月に完成予定の施設は、波除通り沿いの建物内で現在休憩スペースとして活用する約60平方メートル。「築地食のまちづくり協議会」が運営を担当し、築地場外内の飲食店、食品販売店のデータベースを構築。休憩スペースとしての機能を引き継ぎながら、同エリアの情報発信を行う。同NPOでは区内の飲食店のガイド、修学旅行や研修会ツアーガイドなども展開する予定。
鮮魚マーケットは、小田原橋臨時駐車場等敷地約4000平方メートルに設置予定。区では移転後も築地に残ることを希望する水産仲卸業者や青果店などに向けて、1店舗あたり約20平方メートルを配分する想定で、約100店舗の営業を見込んでいるという。都が所有する勝どき門駐車場の利用が可能になれば、同駐車場1階部分約8000平方メートルを鮮魚マーケットとして増床する方針だという。