日本人初のオーストリア国家公認マイスター神田真吾さんが手掛けるオーストリア料理専門店「銀座 ハプスブルク・ファイルヒェン」(中央区銀座7、TEL 03-5537-3226)が4月、銀座・中央通りにオープンした。
神田さんは1975(昭和50)年生まれ、東京都出身。辻エコール・キュリネール国立(現・エコール 辻 東京)を卒業後に東京全日空ホテル(現・ANAインターコンチネンタルホテル東京)でフレンチ、イタリアンに携わり、1997年2月にオーストリアへ。もともとはこれを足掛かりに渡仏してフレンチを学ぶ予定だったが、「現地の人たちの温かみを知って、彼らが何を食べて生きているのかに興味が湧いた」と神田さん。知り合いのつてでチロル州の名門ホテル「ノイエ・ポスト」に入社し、オーストリア料理の世界へと足を踏み入れた。
オーストリアの代表的な料理は、イタリア・ミラノ風カツレツ「ミラネーゼ」を原型にした「ウィーナーシュニッツェル」や、ハンガリーから伝わった料理で、パプリカを煮込んだ「グーラッシュ」など。ハプスブルク帝国時代に他国の食文化が帝国の中心だったウィーンへともたらされ、淘汰(とうた)・発展しながら現地の人たちに愛されてきたという。
在日オーストリア大使館での料理指導や、天皇皇后両陛下がオーストリアに滞在された際にオーストリア料理の担当をした経験も。2004年に日本人として初めてオーストリア国家検定料理マイスター試験に合格し、2006年に赤坂のオーストリア料理専門店「カー・ウント・カー」でシェフとなった。
独立は「オーストリアの食文化を広めながら、後進育成にも取り組んで日本にオーストリア料理の『種』を植え付けていきたい」との思いから。同店ではコースに加えてアラカルト注文に応じ、スイーツにも力を注ぐ。
場所は中央通り沿いの飲食ビル「GINZA GREEN」の7階。店舗面積はエントランス、ホール、個室、キッチンを含めた67坪で、席数は46席。ホールは広々とした作りで、床には大理石を使用し、シャンデリアをつるして「ウィーンの雰囲気」を演出する。
コースは伝統料理を組み合わせ、オーストリア料理の世界観で日本の食材を調理したメニューも展開。9,500円~(別途サービス料)。オーストリア産ワインは50種をそろえる。
オープンから約1カ月半が過ぎた。「料理人の基本は料理すること。精いっぱい料理する。それだけ」と神田さん。「お客さんにも素材にもコックという職業にも恥ずかしくない料理に取り組みながら、いつも『それ以上』を見つめていきたい」
営業時間は、11時30分~15時30分、18時~23時。日曜・祝日定休。