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銀座でますずし行商から10年、居酒屋出店へ-富山での活躍経て「原点」に

10年前はますずしの行商販売を行っていたという染野敬さん

10年前はますずしの行商販売を行っていたという染野敬さん

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 自家製ますずしなど、富山県の郷土料理と地酒を提供する居酒屋「有磯(ありいそ)きときと庵銀座店」(中央区銀座6、TEL 03-6228-5783)が7月3日、銀座6丁目にオープンした。店では富山県産コシヒカリを使った弁当も販売する。

マスの切り身でコシヒカリを包み込んだ「ますの寿し」

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 店主はもともと銀座でますずしの行商販売を行っていた染野敬さん。茨城県出身の染野さんは、会社員時代に仕事仲間だった富山県出身の薬剤師の紹介で、初めて富山に訪れてますずしを体験。その味わいや、「富山県出身者から外国人まで」の幅広い人気ぶりを知り、「まずはマスさえうまくさばけるようになれれば、これまで料理はやって来なかった自分にもますずし作りができるのでは」と発起。2000年、銀座8丁目にオリジナルますずしと共にさまざまなメーカーのますずしを販売する専門店をオープンした。

 オープン当初、店のチラシを路上で配っていた染野さんに、来街者から「今ここでますずしを売っていたら買うのに」という声があった。「ニーズがある」と判断した染野さんは店舗運営と並行して行商販売をスタート。客の意見を取り入れながらオリジナルますずしに改良を加えていった。最終的には「銀座のクラブのママさんから『お土産にしても恥ずかしくない』と評された」が、一方で染野さんが銀座で完成させたますずしは「富山の名産とはいえない」という意見もあったという。

 「それなら」と店をたたみ、富山への移住を決めた。2003年、富山で意気投合した仲間らと共にますずしの加工販売業を開始。百貨店の催事など全国で実演販売を行った。2007年には仲間の家族が宇奈月温泉に富山の郷土料理店「有磯きときと庵」を出店。同地の繁盛期は、トロッコ電車が運行する「4月後半~11月」。「年中商売できるように」と東京進出を思い立ち、「どうせなら『原点』に返って」と今回の銀座出店に至ったという。

 場所は東京銀座ビル地下1階の飲食街「銀6出逢酒場通りCanCan(カンカン)」内。もともとワインバーだった約12坪の店舗を居抜きで借り受け、壁面装飾、ランプシェード、看板などを手作りした。席数は14席。

 料理は富山県産コシヒカリのすし飯をマスの切り身で包み込み、「押し過ぎない」硬さが特徴の「ますの寿し」(1人前630円)のほか、自家製の甘露煮や昆布〆刺し身を提供。白えびの天ぷら(525円)やホタルイカの沖漬けなどの郷土料理も取りそろえる。

 ドリンクでは「東京ではここでしか飲めない」という満寿泉純米酒「冴(さえ)」や、清酒「立山」(以上1合840円)、黒部川のイワナを使った「岩魚骨酒」(2合1,680円)などの地酒を中心にそろえる。生ビール=525円。

 昼は白えび天丼(525円)などのランチ料理も提供。富山県産コシヒカリを使った弁当30種(525円~)のテークアウトには、営業時間中対応する。

 現在は富山県出身者や「行商時代の知り合い」らが店を訪れているという。「店のますずしは、押しすぎずに握りずしのような食感に仕上げた『富山らしくない』ますずし。ますずしが好きな人にも食べてもらいたい。自分の家のようにくつろいでもらえれば」(染野さん)。

 営業時間は、11時~15時、17時~23時。日曜・祝日定休。

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