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銀座松坂屋の屋上ビアガーデン、最後の営業続く-ビールつぎ名人の姿も

麦羊亭の屋上で12年間カウンターマンを勤めてきた伊豆倉勉さん

麦羊亭の屋上で12年間カウンターマンを勤めてきた伊豆倉勉さん

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 銀座の夏の風物詩として約30年間営業を続けてきた松坂屋銀座店(中央区銀座6)屋上のビアガーデン「ライオンビヤガーデン 麦羊亭(ばくようてい)」(TEL 03-3569-3871)が、今年9月末の閉店に向け、最後の営業を続けている。

今年開業した「ユニクロ銀座店」をバックに最後の営業を続ける麦羊亭

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 運営はサッポロライオン(中央区)で、同店は昭和40年代に台頭したビアガーデンブームに乗じて、1984(昭和59)年に誕生。銀座通り唯一の屋上ビアガーデンとして、平日は近隣の会社員に、休日はファミリー客などに親しまれてきたが、松坂屋銀座店が2013年春に建て替えによる一時閉鎖を予定することから、今年が通算29回目となる「最後の」シーズン営業となった。

 お盆を過ぎ、屋外にいるとじっとりと汗をかくほどの暑さが続いた8月17日、18時を過ぎると、屋上に半袖スーツ姿のサラリーマンたちが続々と来店してきた。近隣で働く会社仲間が多く、席に着くとまずは一様に「ビール」で乾杯。同僚9人で集まったという千代田区の会社員は、「ジンギスカンが食べたくて来た」と声を弾ませた。

 高校時代の友人同士で集まった20代男性客らの姿もあった。「ビアガーデンに行ってみたくて来た」といい、同店の閉店が近いことを知ると「おいしかった。もったいない」と残念そうな表情を見せた。

 店内には、若いスタッフに混じってカウンターでビールを注ぐ男性の姿が見えた。「ベンちゃん」の愛称で親しまれる男性は、1941(昭和16)年山形県生まれの伊豆倉勉さん。1963(昭和39)年にサッポロライオンの前身である「サッポロ共栄」に入社し、以来横浜、新宿などの同社ビヤホールでビールを注ぐ「カウンターマン」を続けてきた。

 1980(昭和55)年からはビヤホールライオン銀座五丁目店に勤務。2001年に定年を迎えたが、その腕を買われて同年から麦羊亭のカウンターマンを務めるようになったという。ほかに同社の新店オープン時などには店に足を運び、ビールつぎの指導やサーバーの調整にあたる。

 ビールのおいしさは「2度前後の温度で出すこと、グラスを冷やすこと、グラスをきれいに洗うこと」と伊豆倉さん。現在は雨天中止の場合を除いて週に6日間店頭に立ち、1日400人~500人の来店客に向けビールを提供するほか、グラス洗浄、温度管理やサーバーの掃除などの肉体労働を続けてきた。

 思い出は「急に雨が振って、びしょぬれになって片付けたことかな。風が強い日も大変。でもうまく乗り切った」。3~4年程前から若者・女性客が増えたといい、「男性より飲む女性も多い。アウトドア感覚で楽しんでくれている様子」。注文の合間にはにかみながらゆっくりと話をする姿が印象的で、伊豆倉さん目当てに来店する「ベンちゃんファン」もいるという。

 昨年は震災の影響による節電対策が求められ、屋外環境でビールを提供する同店は「好調だった。8月後半には台風が来たけどね」と笑う。これまでの営業を振り返り、「こんな立派なホールはほかにない。お客さんにも楽しんでもらっているし無くしたくはない気持ちが大きい。でも、しょうがないよね」。

 今シーズンの営業は9月末まで続く予定。「8月はすでに予約でいっぱいだけど、9月は開いている。こんなに大きくて立派なビアガーデンはあまりないので、楽しんでいってもらえれば」。伊豆倉さんは、シーズンオフ中は同社直営店「入母屋~別邸~銀座七丁目店」にも務めており、今後も「『もういいんじゃないの?』と言われるまで、続けていくつもり」と話す。

 営業時間は、平日=16時~22時、日曜・祝日=16時~21時。雨天・強風の場合は休業。9月末まで。

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