独立行政法人 国立がん研究センター(中央区築地5)の築地キャンパス管理棟1階特別会議室で11月30日、市民講座「痛みでできないことや困っていることはありませんか?」が開催される。
同講座は、患者が「痛みがとれた」と感じる割合である「除痛率」についての研究発表を行うもので、がん患者の痛みの治療や緩和ケアに関する講演や患者の立場に立った講演が行われる。
昨年6月、「がん対策推進基本計画」が見直され、「がんと診断された時からの緩和ケア」という文言が盛り込まれたが、「がんの痛みを、もっとちゃんととってほしい」という患者からの要望は絶えない。
同センター中央病院、緩和医療科長の的場元弘医師は「厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究推進事業)」を受けて、日本でがん死亡率が最も高い青森県にある青森県立中央病院において、がんの痛みについての調査を行った。
がんと診断されている全ての患者に、毎日「痛みがあるか」を聞き、ある場合には「痛みの強さ」「痛みがどのように生活に影響を与えているか」を確認。その結果、「患者は痛みを我慢している」「患者は医師や看護師へ痛みがあることを自発的に伝えていない」「『どれぐらい痛いですか?』ではなく『痛みでできないことや困っていることはありませんか?』という聞き方の方が、より患者の状態に合った痛みのケアができる」ということが分かった。
同センター広報企画室の白井ちえさんは「患者さんやその家族の方々に、がんの痛みを自分の言葉で伝えることの重要性を知っていただきたい」と話す。
同センター研究班の成果を一般市民へ公開するのは今回が初めての試みとなる。「がんの痛みが改善せずに困っている方や、痛みの治療過程で日常生活に支障のある方、うまく医師に痛みを伝えられずに悩んでいる方とそのご家族の方々にぜひ今回の講座を聞いていただき、少しでも痛みをやわらげて、快適な生活を送っていただければ」と白井さん。
開催時間は13時30分~16時。定員100人(先着順)。参加無料。