京橋のLIXIL(リクシル)ギャラリー(中央区京橋3、TEL 03-5250-6530)で12月5日、「海藻 海の森のふしぎ」展が始まった。
「海藻おしば作家」野田三千代さん制作による海藻のアクリル・ガラス標本
同展は今年6月~7月に同ギャラリー大阪会場で行われた展示の巡回展。世界に1万種、日本の海にはうち約1500種が生育する海藻を、アクリル・ガラス標本や押し葉標本などさまざまな標本と明治時代の植物画や写真ほかの資料、約320点を通して紹介する。
「海藻おしば作家」野田三千代さんによる押し葉標本は、レースのような風合いのコナハダ科、鮮やかな緑色のハゴロモ、穴が独特のカゴメノリなど、学術標本とは違う華やかさを持つ約 200点が並ぶ。
壁面には、神戸大学内海域環境教育研究センターが中心となって瀬戸内海全域で採集された188種から選ばれた40種のエキシカータ標本(研究者や研究施設の間で交換する目的で複数部作成される標本)を、緑藻・褐藻・紅藻に分類して展示。
日本の海藻学の開拓者、岡村金太郎氏が1907(明治40)年から1937(昭和12)年にかけて執筆した「日本藻類図譜」に収められている海藻原画も特別展示。出版された当時は単色刷りだったために長らく線画だと思われてきたが、今回の展示では、着彩され丹念に描き込まれた海藻図の正確・精密なさまを見ることができる。
ほかにも海の植物としては最も巨大なコンブの仲間、ジャイアントケルプが作る海中林をはじめ、国内外の「海の森」の写真を多数、大画面の映像で見ることができる展示も。
LIXILギャラリーの村木玲美さんは「これだけ多くの海藻のエキシカータ標本やアクリル標本を閲覧できる機会は非常にまれなのでは。自然がつくり出した海藻の造形美が、生活文化の上でなにかのヒントになれば」と話す。
開催時間は10時~18時。入場無料。2月22日まで(水曜、12月28日~1月5日休館)。