東京国立近代美術館フィルムセンター(中央区京橋3)で6月23日から、特集上映「逝ける映画人を偲(しの)んで 2013-2014」が始まった。
亡くなった日本の映画人の代表的な作品などを追悼の意味を込めて上映する同企画は1974(昭和49年)以来およそ2~3年置きに開催され、今回が27回目。同館では最も古くから続いている企画という。
今回は、2013年1月1日から2014年12月31日までの間に亡くなった60人以上の映画人を取り上げる。
同センター研究員の大澤浄さんは「この2年間には2013年4月14日に三國連太郎さん、2014年9月7日に山口淑子=李香蘭(りこうらん)さん、11月10日に高倉健さん、11月28日に菅原文太さんと、日本映画史に巨大な足跡を残した方々が相次いで亡くなられたこともあり、70作品(=60プログラム)と前回より多くの作品を上映することとなった」と話す。
会期中、「三國連太郎選集」では演じる役名がそのまま三國さんの芸名となったデビュー作「善魔(ぜんま)」のほか「飢餓海峡」「戒厳令」「親鸞(しんらん) 白い道」を、「高倉健選集」では後年とは違う一面を見せる初期の作品「花と嵐とギャング」のほか、「ジャコ萬と鉄」「日本侠客(きょうかく)伝 雷門の決斗」「ごろつき」を、「菅原文太選集」では大ヒット作品「仁義なき戦い」のほか「死闘の伝説」「木枯し紋次郎 関わりござんせん」「トラック野郎 御意見無用」を、「山口淑子(李香蘭)選集」では1942(昭和17)年の「萬世流芳」や黒澤明監督の「醜聞(スキャンダル)」などを上映する。
ほかにも1968(昭和43)年の新宿を舞台に即興的な撮影を敢行した大島渚監督の「新宿泥棒日記」、小津安二郎や黒澤明をはじめとする日本映画をいち早く海外に紹介するとともに日本の実験映画・個人映画作家の草分けでもあったドナルド・リチーさんの監督作品、生涯で200本を超えるピンク映画を撮ったという渡辺護監督の「おんな地獄唄 尺八弁天」「日本セックス縦断 東日本編」なども上映する。
「それぞれに『これは』という思い入れのある映画人の作品を見に、ぜひ会場に足を運んでいただきたい」と大澤さん。
入場料は一般520円ほか。月曜、8月10日~17日休館。9月6日まで。