銀座経済新聞のリアルスペース「ぎんけいさろん&ギャラリー」(中央区銀座1)で8月20日から、「山野一・ねこぢるy個展『そこいらの涅槃(ニルヴァーナ)』」が始まる。
山野さんは1983(昭和58)年に雑誌「ガロ」でデビュー。「どぶさらい劇場」「貧困魔境伝ヒヤパカ」「混沌(こんとん)大陸パンゲア」「四丁目の夕日」などに収められた異色の作品群によって「鬼畜系漫画家」として高い評価を得た。
1990年ごろからは当時の妻であった漫画家、故・ねこぢるさんの共作者兼プロデューサー的な役割を務め、「ねこぢるうどん」「ねこ神さま」「ぢるぢる旅行記」などにまとめられた作品群を手掛けた。現在は「ねこぢる」を継承した「ねこぢるy」と山野一の2つのペンネームを使い分けながら漫画家、画家として活動している。
2年ぶりの個展となる同展では新作絵画・切り絵10数点を展示販売するほか、「四丁目の夕日」が雑誌「ガロ」で連載されてから30周年の節目に当たることを記念して、同作品やねこぢる初期作品の原画も参考展示する。
山野さんは「さまざまなしがらみから解き放たれた状態を意味する『涅槃』とは本来は死んだ後にしか得られない境地だが、人はふとしたきっかけに『涅槃』の境地とシンクロすることがあるのではないかと思う。思えば誰もが浮かれていたバブル前夜の日本で就職もせず、原稿料も出ないのに6畳一間のアパートで好きな漫画を描くことに幸福を感じていた自分もきっとその一人だったのだろう。そんな、『そこいらにある涅槃』の絵を描いてみたいと思った」と話す。
「相変わらずの貧乏暮らしだが、これからも絵画作品や昨年からKindle版で出版している育児漫画『そせじ』など、その時々で描きたいものを描いていければ」とも。「原画展示も印象的なページを自分でセレクトしたので、よかったら見に来てもらえれば」と呼び掛ける。
開催時間は13時~19時。日曜休廊。入場無料。9月5日まで。