銭湯背景画絵師・丸山さんがライブペインティング-銀座・芹川画廊で

会場内の観客を背に銭湯の名物「富士山」を描く丸山さん(写真=湖の岩壁を描いているところ)

会場内の観客を背に銭湯の名物「富士山」を描く丸山さん(写真=湖の岩壁を描いているところ)

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 銀座1丁目の奥野ビル(旧銀座アパートメント)地下1階のギャラリー「芹川画廊」(中央区銀座1、TEL 03-3535-2007)で11月21日、銭湯の背景を描く銭湯背景画絵師・丸山清人さんがライブペインティングを行った。

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 背景画の始まりは大正時代で、その後、広告会社が浴場の背景画を無料で銭湯へ提供する代わりに地元商店街などの広告を背景画下に掲示するという形式で広まったと言われている。現在、全国に2人しかいないと言われる銭湯背景画絵師の丸山さんも最盛期の1970年代には一日に2つの銭湯で描き上げることもあったという。

 同所で9月に開催した作品展が好評だったことから、第2弾となる「Last Last Sento Painter Redux」の開催が決まった。約30人の観客を前に行ったライブでは、高さ180センチ×横270センチの背景画を約3時間かけて描き上げた。

 下地をブルーに塗りつぶし、少し下描きした状態で富士山や雲、湖、植物の茂みなどの絵付けが始まった。ある程度の骨格が仕上がったところで順に細やかな色彩をのせていく。ペンキの臭いが充満する会場内には座席が設けられ、丸山さんの軽快な筆さばきと同時にあらわになっていく壮大な富士山絵に観客は釘付けになった。

 13時から始まったライブペインティングが完成を迎えたのは16時過ぎ。待ち望んだ観客からは拍手と笑みがこぼれた。「出来は上々。銭湯の背景画はこれよりも何倍も大きい。意外に小さい絵の方が、手間がかかる」と丸山さんも安堵(あんど)の笑顔を見せた。

 会場では、細い筆で富士山が描かれた風景画10作品(3万円~5万)と前回のライブペインティングで描かれた「西伊豆」(90センチ×270センチ、25万)も展示販売している。同画廊の芹川さんは「次は海外で展示を行いたい。パリがニューヨークかな」と意欲をみせた。

 前回出展した11作品はすべて売れ、横浜、鎌倉、ハワイへと巣立った。購入客の中には「病気のため銭湯に行けない母のために」と自宅の風呂場に富士山絵を飾る人や、「お風呂に飾って長生きしたい」という声も聞かれたという。

 開廊時間は12時~18時(土曜は17時まで)。12月5日まで。

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