バッハの演奏の「斬新さ」「美しさ」で知られる天才ピアニストを描いたドキュメンタリー「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」の上映が10月29日、銀座テアトルシネマ(中央区銀座1、TEL 03-3535-6000)で始まった。
グールドは1932年にカナダで生まれ、1946年にピアニストとしてデビュー。アメリカデビューした1955年に「バッハ:ゴールドベルク変奏曲」を録音し、バッハの斬新な解釈、画期的な録音と演奏で、翌年販売されたレコードはベストセラーを記録。「影がある」ルックスと共に、グールドは「時代の人気者」として一挙にその名を知られることに。1964年以降はコンサート活動から「引退」。1982年に50歳で急逝するまで、レコード録音、ラジオ、テレビなどの放送媒体に限定する独自のスタイルで演奏を展開。真夏でも手袋とマフラーを手放さず、異様に低い椅子に座り歌いながら鍵盤をたたく「風変わり」なキャラクターでも知られた。
100本以上のドキュメンタリー映画やシリーズ作品を手掛けるピーター・レイモントさんと、レイモント作品の編集を長年担当してきたミシェル・オゼさんとの共同監督。オゼさんはグールドを扱った伝記、著作、映画が多く存在する中で、「なぜ、またグールド映画を作るのか」を念頭に置いたといい、作中ではグールドのデビュー当時の恋人フランシス・バローさん、人妻である画家コーネリア・フォスさん、ソプラノ歌手ロクソラーナ・ロスラックさんなど、これまで公の場でグールドについて語ったことのなかった人々へインタビュー。未公開の映像や写真、プライベートなホーム・レコーディングや日記からの抜粋などを通して、「伝説の人物」ではなく「一人の人間」としてのグールド像を浮かび上がらせた。
上映は21時10分~。終映日は未定。全国順次公開。