4月2日に迫る新しい歌舞伎座の開場を記念して3月27日、中村時蔵さん、市川染五郎さん、尾上菊之助さん、中村獅童さんら歌舞伎俳優60人が銀座通りを練り歩く記念パレード「GINZA 花道」が行われた。
前日までの晴天から一転し、「花冷え」となった同日。銀座でも朝から小雨が降り続いたが、中央通りは俳優陣を一目見ようと集まった来街者で混雑。お練りの「花道」となる中央通りに交通規制が敷かれると、車道は傘やカッパで雨を凌(しの)ぐ歌舞伎ファンの姿であふれた。
一行は「銀座通り口」から銀座4丁目までの中央通り約400メートルをパレード。交通事情や天候の影響で予定より15分遅れた10時30分、スタート地点の銀座通り口で松竹の迫本淳一社長が開会宣言。横断幕が開くと時蔵さんを中心に総勢63人の歌舞伎俳優が一堂にお目見えし、待ち受けた来街者から歓声が上がった。
パレードは江戸消防記念隊の木やりを先頭にスタート。直後は雨も一時的に収まり、ひいきの屋号を叫ぶ沿道のファンの声に、俳優陣は笑顔で手を振って応えていた。
歌舞伎業界では「襲名時にお練りをするが習わし」と、歌舞伎座の大谷信義社長。今回のパレードは第5期歌舞伎座を「擬人化」して第4期からの「襲名披露」に見立てたものといい、これだけの人数の俳優が一堂に集まってお練りを行うのは初めての試み。
「400年の歴史を持つ歌舞伎に新しい1ページが開かれる」と、日本俳優協会の坂田藤十郎会長。雨模様にも「第5期歌舞伎座にお客さんが『降ってくる』。縁起がいい」と笑顔を見せた。
4月2日のこけら落とし公演まであと6日。現在銀座かいわいでは、歌舞伎の衣装や小道具、舞台映像などを紹介する「4k 歌舞伎」(ソニービル、4月14日まで)、「意匠」「舞台」を通して歌舞伎座の伝統を伝える「銀座 歌舞伎座展」(銀座三越、4月2日まで)などが連動して開催され、エリア全体で歌舞伎座開場を盛り上げる。