千代田区立日比谷図書文化館(千代田区日比谷公園1)で現在、「藤田嗣治 本のしごと 日本での装幀を中心に」が開催されている。同展は藤田嗣治の日本での装丁の仕事を主に扱った展覧会としては過去最大規模のもの。
藤田は1913(大正2)年の渡仏後、パリ画壇で画家としての地位を確立するのと同時期に挿絵本興隆の時代の中で精力的に挿絵本の制作に取り組み、1933(昭和8)年から1949(昭和24)年にかけての日本定住時にも文学者、詩人、文化人と共に挿絵本の仕事を続けた。
同展は、そうした藤田が1920~40年代に手掛けた書籍の装丁や挿絵、雑誌の表紙などの業績を、特に日本で手掛けた仕事を中心に紹介するもの。「わが最終歌集」(岡本かの子)、「戦線」(林芙美子)、「落葉日記」(岸田國士)、「海龍」(ジャン・コクトーの来日体験記)などの書籍の装丁・挿絵や「婦人画報」「婦人之友」「スタイル」などの女性誌の表紙などを展示している。
1937(昭和12)年から1944(昭和19)年までを過ごした麹町区六番町(現千代田区六番町)のアトリエでの暮らしにもスポットを当て、写真家・土門拳が撮影した当時の記録も紹介。
会期中、美術史家の海野弘さんによるトークイベント「挿絵本の黄金時代と藤田嗣治」や京都造形芸術大学准教授の林洋子さんによるギャラリートーク「藤田嗣治 本のしごと」も予定。
開催時間は10時~20時(土曜は19時まで、日曜・祝日は17時まで)。今月15日と5月20日は休館。観覧料は一般300円、大・高校生200 円。6月3日まで。