並木通り沿いの幸稲荷神社(中央区銀座1)で2月12日、毎年恒例の初午(はつうま)の神事が行われた。1丁目の再開発に伴い移転が決まったため、同所で行われるのはこれが最後となった。
同神社は江戸時代に祭られてから商売繁盛、家内安全、良縁などのご利益があるとされ、地元の人や通りすがりの人が手を合わす小さな「お稲荷さん」として親しまれてきた。初午は毎年2月の最初の午の日に行われ、五穀豊饒(ごこくほうじょう)を祈る。当日、雨が降りしきるなか地域の関係者十数名が集まり、日枝神社(千代田区)の平井神職による祈祷が執り行われた後、参列者には「稲から作られた」お神酒が振る舞われた。
神社の移転は神社裏手に店を構えていた、俳人・鈴木真砂女さんが始めた小料理屋「卯波」跡地に建設されるビルと同じ再開発に伴ったもの。代々にわたり管理してきた銀座西1丁目自治会の矢島副会長さんは「跡地に建つビルの一角に移転するようお願いしているが、どうなるかはまだ定かでなはい」と話す。
同神社を20年間にわたり見守ってきた関係者は「10年、20年の月日の経過とともに、人も2代目3代目へと変わっていく。移転後、お稲荷さんを知っている人しか参拝にこないのでは」と寂しい表情を浮かべた。同神社の移転先や移転時期の詳細はまだ知らされていないという。