歌舞伎座(中央区銀座4)と松竹(築地4)が共同で建て替え工事を行う歌舞伎跡地(銀座4)で10月28日、第5期歌舞伎座起工式が執り行われた。
今年4月、晴海通りに位置する歌舞伎座は大勢のファンに惜しまれながら閉場し、第4期歌舞伎座は既に取り壊され更地に。2013年には第5期歌舞伎座とその背面に地上29階、地下4階建ての賃貸オフィスビルの竣工を予定している。
雨が降りしきる中、朝11時から始まった神事式には松竹関係者、歌舞伎座関係者、歌舞伎役者・中村芝翫(しかん)さん、松本幸四郎さん、中村吉右衛門、中村勘三郎さんや来賓などを含めた約120人が出席。氏神である鉄砲洲稲荷神社(てっぽうずいなりじんじゃ)の神職による祝詞、施行を共同で請け負う三菱地所設計の小田川和男社長と建築家の隈研吾さんによる苅始之儀(かりぞめのぎ)、歌舞伎座の大谷信義社長と松竹の迫本淳一社長による穿初之儀(うがちぞめのぎ)などが厳かに執り行われた。
直会(なおらい)で大谷社長は「中央区、銀座・築地の皆さま、行政機関すべての関係者に御礼を申し上げる。銀座の街並を継承し、文化継承、バリアフリー化、トイレ不足の緩和などのほか、取り壊した第4期歌舞伎座で使用された部材を再利用するなど取り組んでいきたい」とあいさつ。小田川社長は「長らく愛された第4期歌舞伎座を継承するよう、背面の高層賃貸オフィスビルはできるだけ晴海通りより後ろに下げ、歌舞伎座が独立して見えるようなデザインになっている」と詳細に触れた。
日本俳優協会会長を務める芝翫さんも登壇し、「第2次世界大戦、関東大震災なども経験した歌舞伎座は近代歴史そのものである。俳優らの意見を取り入れていただけ感謝している。新・歌舞伎座への期待が高まる」と話した。
来月より地下工事が始まり、竣工は2013年春を予定している。