東京都中央区は2月4日、2011年度の予算案に勝どき駅の混雑を緩和する新たな公共交通整備へ向けた調査費を計上したと発表した。同区ではこれを受け、環状2号線を利用する次世代型路面電車(LRT)の敷設を視野に入れた本格的な調査に乗り出す見通し。
2000年末に開通した大江戸線勝どき駅では、翌年の晴海トリトン開業や続く高層マンションの建設ラッシュを経て朝ラッシュ時の通勤客らによる混雑が慢性化。中央区では地域住民から、混雑緩和を要請する苦情を度々受けてきたという。
勝どき駅周辺の半径500メートルエリア内には他の交通機関がなく、今後も居住者数の拡大が見込まれる。これらの理由から、中央区では新たな公共交通機関を検討。整備へ向けた調査費として、2011年の予算案に1,500万円を計上した。
晴海~汐留間では現在、幹線道路「環状第2号線」の整備が進む。これは晴海通りの渋滞緩和、臨海部と都心部とのアクセス向上などを目的とし、2015年に開通予定。今回計上された調査費は、同道路を利用した新・交通システムの導入を検討するための予算で、実質のシステム始動は早くても環状2号の完成以降。
新公共交通に求めるのは、現在問題とされる「混雑緩和」に加えて「『低炭素型社会への貢献』と『街の魅力の向上』」と同区土木管理課長の有賀重光さん。これらの狙いを実現する機関として、環境負荷の少ない次世代型路面電車(LRT)、バス専用車線などを用いた高速バス(BRT)を例に挙げる。
仮にこれらの交通機関が開通する場合、晴海5丁目、築地市場を通る環状2号を経由しながら、「近隣の大型ターミナル」として銀座駅や東京駅までをルートとする可能性も示唆。2月2日・3日付けの新聞各紙は、晴海~銀座間をルートとする路面電車計画を報じ大きな話題を集めたが、「あくまでも可能性の段階。それらを視野に入れた調査をこれから進めていく予定」と有賀さん。
銀座では1971(昭和44)年、中央通りを60年以上走り続けた路面電車が交通渋滞の元凶になるとして廃止された。銀座に路面電車が復活する場合、海外からの観光客などへアピールする新名物となる可能性もある。