自叙伝「東京タワーオカンとボクと、時々オトン」にも登場するリリー・フランキーさんの元アシスタント2人の初個展「えのもとおさむ個展VSホセ・フランキー個展」が3月2日、イベントスペース「@btf」(中央区勝どき2、TEL 03-5144-0330)で始まった。
3階ではえのもとおさむさんのイラスト原画約100点を一堂に展示
えのもとさんは1966(昭和41)年、長崎県生まれ。リリーさんがバイトしていた似顔絵教室の生徒として知り合い、数年後路上でしゃがみ込んでいたところ通りかかったリリーさんに声を掛けられた。作中ではリリーさんの母親が上京するまでの間、アシスタントを務めながらリリーさん宅で居候生活。「といっても基本はテレビ見たりゲームしたり漫画読んだり…。ごくたまに、リリーさんのイラストのベタを任された」とえのもとさん。人物や動物を描いた物語性の高いかわいらしいタッチが特徴で、1995年にイラストレーターとして独立した。
ホセさんは1971(昭和46)年、北海道生まれ。作中では上京したリリーさんの母親が元気に宴会芸をしていたころから体調が悪くなり始めた、1996年ごろから2000年ごろまでアシスタントを務めた。「といっても仕事らしいことはほぼなく、リリーさん宅でおかんの手料理をごちそうになった後、リリーさんの原稿を待っている出版社の方たちと談笑しつつ、ウサギの世話をしたり、朝まで下北に飲みに連れていってもらったりする毎日だった」とホセさん。別にバイトもしていて、「寝不足の中ボケーッと『リリーさんかっこいいなあ』と思い過ごした数年間だった」と振り返る。えのもとさんが「僕よりめちゃくちゃ絵がうまかった」と語る作風は、日本画タッチによる淡い色調が特徴。2000年に独立し、主に雑誌、書籍、広告、ウェブを中心に活躍する。
同社企画担当の辻ともこさんは7年前、リリーさんからえのもとさんを紹介され、「名刺の裏に描かれていたイラストが印象的だった」と振り返る。昨年夏、グループ展などで活躍していたえのもとさんとホセさんに「大々的な」初個展を持ち掛け、プロジェクトをスタートさせたという。
期間中、えのもとさんの個展を3階で、ホセさんの個展を4階で開催。えのもとさんは、「子どもと動物」をテーマに2011年夏から描きためたイラスト作品約80点が中心。「20年前くらいに描いたもの」など過去の作品約20点も加え、100点以上の作品を全て原画で展示する。「特に子どもやファミリーに見てもらえれば。子どもの反応も楽しみ」(えのもとさん)。
ホセさんは、キジ、ツル、ふくろう、ワシなど大小さまざまなトリをA0サイズ1枚に描き込んだ「鳥」など、新作4点を含めた21点を紹介。掛け軸作品も並べる。「日本画ならではの美しさを保ちつつ、内容はシニカルだったりシュールだったりする。普通の日本画とは違った趣を楽しんでほしい」(ホセさん)。
開催時間は11時~19時。月曜・火曜・祝日休館。入場無料。3月25日まで。