東京テアトル(中央区銀座1)は5月2日、「ホテル西洋銀座」「銀座テアトルシネマ」などを展開する中央通り沿いの自社ビル「銀座テアトルビル」(銀座1)を譲渡すると発表した。土地面積は約2250平方メートルで、延べ床面積は約1万9000平方メートル。
1946(昭和21)年設立の東京テアトル(旧東京興行)は同年、同所に映画館「テアトル銀座」を開館。1955(昭和30)年には建て替えによって1329席を有する1・2階構成の映画館「テアトル東京」、名画座「テアトル銀座」を開業。3台の映写機で投影する「シネラマ方式」や縦8.7メートル、横26メートルの大型スクリーンなどで知られ、「西部開拓史」「ゴッド・ファーザー」「スター・ウォーズ」などの大作、ヒット作を上映してきた。
1981(昭和56)年には「テレビの普及に伴う映画館事業の衰退」(同社広報担当者)を受けて閉館。西武都市開発の資本参入を経た1987(昭和62)年、同所に菊竹清訓さん設計による12階建ての複合ビル「銀座テアトルビル」を竣工した。
同ビル内には「ル・テアトル銀座by PARCO」(3階、旧銀座セゾン劇場)、「銀座テアトルシネマ」(5階、旧銀座テアトル西友)、「ホテル西洋銀座」などを展開。当初は旧セゾングループが各施設を運営したが、1990年代から始まったセゾングループの解体に伴って資本関係を解消し、3施設は2000年4月までに同社施設へと名義変更。3階ル・テアトル銀座については2007年、パルコに運営移管している。
譲渡理由は同社の「事業への再投資や有利子負債の圧縮による財務体質の改善」を目指した成長戦略の一環。譲渡先は国内の一般事業会社(非公開)で、譲渡金額は178億8600万円。物件引き渡し日は未定で、3施設の今後の展開については「決定次第発表する」(同社広報担当者)としている。
同社は昨年、「パルコ調布キネマ」「池袋テアトルダイヤ」「シネセゾン渋谷」「シネ・リーブル博多駅」などの映画館も相次いで閉館。現在運営する映画館は「銀座テアトルシネマ」を含め全国で10館を数える。