経典を収納できる「首飾り」や邪(じゃ)視よけの「背飾り」など、近・現代アジアの装身具270点を一堂に紹介する企画展「聖なる銀 アジアの装身具」が現在、「LIXIL(リクシル)ギャラリー」(旧・INAXギャラリー、中央区京橋3、TEL 03-5250-6530)で開催されている。
アジアでは、銀は強い反射力から邪悪なものをはね返す金属として尊ばれ、装身具に多用されてきた。数百の民族が暮らすアジア地域では、装身具は民族のアイデンティティーを示す役割も担い、存在感のある大胆な造形や手の込んだ細工など、ヨーロッパ以上に種類も豊富で固有なデザインが発達した。
同展では、近・現代のアジアに見られる代表的な装身具270点を一堂に紹介。東アジア、東南アジア、中央アジア、南アジア、西アジアの5エリアに区分し、頭の先から足の先まであらゆる部分に応じた各地域のさまざまな装身具を展示。写真やキャプション、地図などを使って装身具の役割、特徴などを紹介する。
南アジアを代表するインドでは、老若男女が全身を華麗な装身具で装飾。装身具を指す語「ガハナー」は「抵当」の意で、財産として肌身離さず持ち歩く文化が発達したという。中央アジア地域のトルクメニスタンからは、「アシク」と呼ばれる背飾りを紹介。ハート型の飾り板を連結したもので、砂漠を歩いている時に無防備な背後から襲ってくる病気や邪視から身を守るために衣服に縫い付けて利用する。西アジア・オマーンからは男性の誇りを表すものとして男性が腰に飾る儀礼用の短刀「カンジャール」を展示。ほかに東南アジア・インドネシアバタク族の儀礼用指輪や、チベットの首飾りで経典やお守りを収納できる「ガウ」、長寿と繁栄のシンボルである錠前をモチーフにした中国の首飾りなど、26カ国から集めた270点が一堂に並ぶ。
7月20日には「LIXIL:GINZA」8階で、同コレクションを提供する日本宝飾クラフト学院理事長で、装身具歴史文化研究家の露木宏さんによるトークイベントを開催する。参加無料、18時30分~。参加には事前申し込みが必要。
開催時間は10時~18時。日曜・祝日休館(8月11日~15日は休業)。入場無料。8月25日まで。