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銀座シネパトスで最後の映画撮影-名画座ファンら約130人の「観客役」出演も

シネパトスの劇場での撮影風景

シネパトスの劇場での撮影風景

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 来年3月の閉館が決まっている映画館「銀座シネパトス」(中央区銀座4)を舞台にした映画「インターミッション」が10月5日、エキストラ約130人を動員した客席撮影に取り組んだ。

客席を埋めるエキストラに説明する樋口監督

 シネパトスの閉館決定を受け、同館を舞台に撮影し、ラストロードショーとして公開されることが決まっている同作。特集上映のプログラム編成や名物となったトークイベントなどを担当してきた映画評論家・樋口尚文さんがメガホンを取り、映画スタッフ、俳優らが「友情協力」。「取り壊しが決まった銀座の古い名画座」を舞台に展開されるブラックコメディーとなる予定で、現在急ピッチで製作が続いている。

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 撮影は同館の上映スケジュールの合間をぬって実施した。シネパトス1の客席やステージを中心に、ロビー、映写室など「劇場内の見せられるスペースは全て使っている」と樋口監督。ほかに三原橋地下街や地下街に営業する洋食店「三原」など、「撮影場所のほぼ9割は三原橋地下街」とも。三原の店主夫婦の出演もあり、撮影終了後にはスタッフらが店に飲みに行くなど「地下街のみなさんには全面的に協力いただいた」(シネパトスの鈴木伸英支配人)。

 11日目となる同日は、約130人が観客役でエキストラ出演。中川安奈さん、佐伯日菜子さんや水原ゆう紀さんなどプロの俳優に混じって「シネパトスファン、映画ファン」がシネパトス1の客席を埋めた。

 30代女性は、「2~3年前から通っていた」という名画座ファン。シネパトス閉館の知らせは「ショックだった。これからどこで映画を見たらいいのかわからない」と話す。「原田芳雄特集」をきっかけに通っているという20代女性は、「多くの映画ファンにとってシネパトスは大切な場所。閉館は残念だが、最後の作品に参加できることが嬉しい」と話した。「パトスは昔から好きで、デートで使ったこともあった」と声をつまらせる30代男性の姿も。「寂しさがこみ上げてくる」と話す一方で、初めての撮影現場には「大変だが、新鮮で面白かった。完成したら絶対に見に来る」と笑顔を見せていた。

 鈴木支配人は劇場での撮影について「現場は初めてだったが、スタッフのみなさんの熱い仕事ぶりやチームワークを見せていただいた」と振り返る。「撮影が進むにつれて、みなさんの『いいものを作ろう』という映画愛、シネパトス愛が伝わってきて胸が熱くなった。こんな幸せな劇場はない」とも。

 同作は同日にクランクアップを迎え、来年2月の公開に向けて編集作業に入る。「シネパトスは日本に元気があった昭和文化を継承する映画館。一流のスタッフや俳優陣が、好きな事のためには無茶をするという昭和的なスピリットを共有して取り組んできた。ノスタルジーではなく『昭和の逆襲』として、ものづくりのエネルギーを感じてもらえれば」(樋口監督)

 上映は来年2月23日から3月31日を予定。