江戸前すし店や老舗のり店など、「築地で働く」ライフスタイルを幅広く紹介する求人サイト「築地求人ドットコム」の運用が始まって5カ月がたった。
運営は、築地場外市場商店街振興組合など5団体が加盟するNPO法人「築地食のまちづくり協議会」。もともと築地の求人は通常の求人誌や求人サイトで探す方法が主流で、「築地の仕事は朝が早いなど、『3K』的な受け取られ方をしている方もいるのでは」と同NPO企画部で鳩屋海苔(のり)店代表の鵜飼友義さん。「ライフスタイルとして築地で働く魅力を伝えたい」と法人メンバーで立ち上がり、サイトを立ち上げたという。
「江戸前すし店」「のり店」「鳥専門店」など、「食」をキーワードに幅広い業態の店を扱う。「朝が早い代わりに就業後の午後の時間を有効利用している」人、「築地の持つ、アジアのマーケットに似た躍動感に引かれた」人、「人材派遣会社を辞めて3代目を継いだ」人などが各店の顔としてサイトで紹介。募集ページでは、各人の表情・仕事・所作を通して「築地で働くことの核心部分に焦点を当てる」ことを心掛けているという。
現在は、すし店「鮨江戸時代」、魚料理店「魚河岸三代目 千秋 はなれ」、のり専門店「鳩屋海苔店」が人材を募集中。「買い付けに来るプロの料理人から観光客まで、店先で接客する従業員とのやり取りから生まれる活気やにぎわいが街の魅力の源泉。自分もそうした仕事がしたいと心底思える人に応募のボタンをクリックしてもらえれば」と鵜飼さん。運営開始から現在までに、サイトを通して3件の面接が実現している。
「就業マッチングという枠を超えて、サイトが築地と読者との接点になってくれるとうれしい」との思いもある。今後は求人情報に加えて場外市場が運営するイベントのサポートスタッフなども募り、「『築地ファン』づくりの場」も目指す。