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銀座・ミキモト本店で中国の「切り紙」展-日本初公開作品30点

剪紙作品「剪花娘子(チェンホワニャンズ、切り紙を作る女神)」と黄永松さん

剪紙作品「剪花娘子(チェンホワニャンズ、切り紙を作る女神)」と黄永松さん

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 銀座・ミキモト本店(中央区銀座4、TEL 03-5550-5678)で8月1日、中国の民間芸術「剪紙(せんし)」の展覧会「花珠爛漫(らんまん)『中国・庫淑蘭(クー・シューラン)の切り紙宇宙』展」が始まった。

「花珠爛漫『中国・庫淑蘭の切り紙宇宙』展」会場風景

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 農家の一主婦だった庫さんによって作られた約30点の「剪紙」作品を展示する同展。 剪紙は、古来より中国で主に農村での祭りや季節ごとの屋内の飾りとして使われる切り紙。五穀豊穣(ほうじょう)を祈り、めでたい吉祥文様などをモチーフに農家の子女たちの手で伝承され、現在も作られ続けている民間芸術の一つ。

 1920年生まれの庫さんは1980年に旬邑(ジュンユウ)県文化館美術研究員によって剪紙の才能を見いだされ、県での剪紙指導を始めた。1985年に自宅近くの深い溝に落ち全身打撲の重傷を負い2カ月近く寝たきりとなるが、その間に強烈な生命意識が湧きあがり、剪紙に全身全霊を傾けることを決意したという。

 中国国内でさまざまな賞を受けたほか、ユネスコからは「中国民間美術大使」の称号を贈られ、 没後の2005年には米ボルチモア美術館で個展が開催されるなど剪紙作家として評価されているが、日本での作品公開は今回が初めてとなる。

 展示しているのは、庫さんの創作を物心両面で支援し続けた、アートディレクターで民族文化の研究家でもある黄永松(ホァン・ヨンソン)さんのコレクションだ。

 「貧しい暮らしの中から豊かな作品を生み続けた庫さんの作品は伝統的かつ現代的で、よく西洋の表現主義や立体派、野獣派と比較されるが、独特の世界観によって斬新な美意識を展開させ、伝統的な手法に束縛されない気迫に満ちている」と黄さん。

 「庫さんの作品には円い点のモチーフが多く使われている。細やかに丸く切って整えられた紙片は真珠のようで、ミキモトはこの展示にとても合った場所。彼女の作品から人や宇宙、大自然とのつながりといった生命の根源的な美しさを感じていただければ」とも。

 開館時間は11時~19時(9月2日のみ~16時)。入館無料。9月17日まで(期間中、8月28日は休館)。

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