全国から「桜便り」が届く中、銀座では唯一の桜並木である銀座桜通りにある八重桜のつぼみもほころび始めた。4月中旬から下旬にかけて一番の見頃を迎える見通し。
銀座桜通りでは「少数派」のソメイヨシノ-銀座1丁目の「銀座桜通り」
銀座桜通りは、銀座1丁目2番から銀座1丁目7番の「銀座通り口」の交差点までの約220メートルの通りを指し、約50本の桜は数本のソメイヨシノを除き、ほとんどが八重桜。品種は濃いピンク色の「カンザン(関山)」と、薄いピンク色の「フゲンゾウ(普賢象)」の2種類で、どちらも花弁が多いのが特徴。
桜並木は昭和50年代にはすでにあったことが写真資料などによって確認されているが、中央区環境土木部水とみどりの課道路緑化施設係長の近藤浩さんは「1988(昭和63)年、中央区道路愛称名の第1回選定の際に、正式に『銀座桜通り』という現在の名称となった」と話す。
今年は2月の大雪の影響で、東京の桜の名所でも倒木などが発生しているが、同通りのサクラには特に影響は見られないという。
同通り沿いでビンテージやオリジナルジュエリーを扱う専門店「アズール・カリテス」(中央区銀座1)を経営する三浦浩恵さんは「毎年春になると店の前の数本のソメイヨシノから始まり、八重桜、その後にはツツジと、1カ月以上にわたって花を楽しむことができる。普段は落ち着いた雰囲気の通りだが、桜の季節には散策を楽しむ人で、いつもより人通りが増える。歌舞伎の舞台のように華やかな桜並木に車を止めて見入る人たちもいる」と話す。
「桜は根を大きく張ることから街路樹にはあまり適さないとされており、桜並木の通りというのは珍しいケース。地元の人をはじめ多くの方に長年愛されてきたこの並木をこれからも大切にしていきたい」と近藤さん。